桃巴『31番目のお妃様 2』

 毒のお茶会からの紫斑病の発生とそれを制圧するカロディア領の兄妹たち。だいたい、ウェブ版の範囲は2巻で終わるのか。ここからが長いわけね。


 意思確認の夜会で、一頭抜きん出た本命であることが明らかになったフェリア。それに対して、最有力のゲーテ公爵の娘サブリナは、引き際を誤り、本格的に競争相手を消そうと試みる。そのために、毒の入手を図る。それが、より大きな事件のもととなって…


 毒の茶会というのも、なかなか怖い。
 気の弱くて、言うことを聞かせられる侍女をフェリア邸に送り込んで、茶会の際に毒を盛らせる作戦を立てるサブリナと女官長。しかし、警戒を固めて、内情を押さえているフェリアたちの側は万全の体制でひっくり返す。ミミズが入っている最初の贈り物を出して、警戒させて、ただの土をお土産に。と思ったら、土壌には当然ミミズも混じっていて。ミミズが膝の上に落ちたサブリナが気を失いかける。そこに、出かける直前に侍女が「紫の小瓶」を気付け薬と言い訳したことから、気付け薬としてサブリナに飲ませようとするフェリア。
 「紫の小瓶」を真ん中に置いたままお茶会というのも、真相を知っているとなかなか怖い。最後は、サブリナに自身が用意したものであることを否認させて、「紫の小瓶」を引き取る。こうして、「毒」はフェリアが押さえることに。


 サブリナを押さえて平和に話が進むかと思いきや、今度は市中で紫斑病が発生。空気感染?の紫斑病に緊迫する王城は総動員体制。しかし、フェリアの亡くなった父母は、紫斑病の対抗策を研究していて、それを一気に解放する兄妹。タロ芋と一角魔獣の肉の芋煮が予防になるということで、大量に作って王都の住民に振舞うフェリアたち。
 フェリアたちが後宮に入って、芋煮の補充をしようとしたところを妨害しようとした女官長とサブリナは、完全に立場をなくす。まあ、存亡の危機にセクショナリズム全開ではねえ。だいたいの組織は、そういうものではあるけど。
 そして、その原因となったのは女官長の甥たち。一巻で森に放火した後、後ろ暗い依頼を受けて小金を稼いでいた一同、サブリナの侍女から毒の調達の依頼を受ける。裏社会に詳しくない一同は、腐り沼の水を煮沸して、それらしいものを作り上げて、毒として納品。しかし、その腐り沼の水を煮詰める行為が紫斑病の原因で。
 芋煮の優先を要求する貴族たちを閉じ込めるやり口も、なかなかあくどくて良い。


 ゲーテ公爵は、中枢に返り咲くため、王弟エミリオの身柄と理不尽な慣習の廃止を妃選び後に行うという二つのネタでマクロン王を揺さぶる。しかし、サブリナが独断で毒の入手を図り、それが紫斑病の原因となって国を存亡の危機に追い込んだことで全面降伏を余儀なくされる。
 最後は、うるさい貴族を黙らせて、女官長をカロディア領に放り込んで、バレバレおしのびデートで幕。
 とりあえず、全部の候補が辞退して、フェリア一人が勝ち残り。勝利確定、と。


 イザベラと王弟エミリオの関係は今後の布石なのかな。あと、「紫の小瓶」が結局、毛生え薬だったという落ちもw