ハリケーン、広がる略奪 治安維持には州兵不足

http://www.asahi.com/international/update/0902/004.html

ミシシッピ州のビロクシー市では、空き家になった高級住宅地の個人宅が狙われるという。ハリケーンからの避難命令で、マイカーを持つ中流以上の人の多くは町を一足先に逃れ、無人と化した住宅街は格好の標的になった模様だ。

略奪する側もメディアに主張する。テレビのインタビューに一人の若者は「こうしなけりゃ生きていけない」と悪びれずに語った。車も現金もない貧困層には、そのまま自宅にとどまって被災した人が少なくない。ミシシッピ州は黒人の人口が4割近い。全米で2番目に貧しい州でもある。取り残されたという「持たざる層」の恨みと、救援物資の配布が遅れている現実が、略奪に拍車をかけているようだ。

米メディアによると、ハリケーン被害を受けた南部4州は州兵を総動員し、救援と復旧にあたっている。しかし、被災が集中したミシシッピ州でも4000人の州兵がイラクに派遣されており、救援は約6割の兵力が支える。とくに必要な工兵部隊やヘリなどは、他の8州からの応援に頼っている。「この事態に兵力不足は大問題だ」と関係者はこぼす。ニューオーリンズのあるルイジアナ州からも州兵3000人がイラクに派遣されている。