小島敏男『南極観測船ものがたり:白瀬探検隊から現在まで』

南極観測船ものがたり―白瀬探検隊から現在まで

南極観測船ものがたり―白瀬探検隊から現在まで

 タイトルのごとく、歴代の南極観測船に焦点を当てた南極観測の歴史。白瀬探検隊の開南丸、宗谷、ふじ、しらせ(初代)の四隻が取り上げられている。ふじですら能力不足で、ビセット(氷に閉じ込められること)を一度経験しているし、最初の数回以外は接岸できていないというのが、南極の厳しさを物語っている。ふじは、チャージングの連続など、かなり無理したために老朽化が早かったそうだ。まして、宗谷や開南丸などでの南極行は相当無謀だったんじゃ。
 宗谷は第二次越冬隊の断念以後、ヘリコプターでの輸送を重視した方法に転換したとか、いろいろ興味深い。あと、しらせの安定感がすごいな。他の船の救援をおこなったり、接岸しての陸揚げが可能になって輸送効率の上昇など。