松本泰生『東京の階段:都市の「異空間」階段の楽しみ方』

東京の階段―都市の「異空間」階段の楽しみ方

東京の階段―都市の「異空間」階段の楽しみ方

 ここのところ、街歩き系の本がどういう切り口で書いているかみたいな興味で、いろいろと本を借りこんでいる。自分の街歩きに応用できないかというところから。
 本書は、タイトルの如く街中にある階段の魅力を扱った本。東京の西部は台地に谷か切り込んで、非常に起伏が豊かな土地なんだな。かつ、古くから都市化・住宅地化しているところに魅力的な階段が出現する。その観点からは、熊本はけっこう厳しいな。旧来の熊本城下町は、熊本城から北に続く京町台地以外は、割合に平坦。かつ、京町台地と低地を繋ぐ坂の階段も、どこまで魅力的か。
 まあ、私が階段に魅力を感じないのは、ひとつには主な移動手段が自転車ってこともあるんだろうけど。坂、特に上り坂は、それだけで自転車にとっては障害だし、階段となると自転車を抱え上げてえっちらおっちらと運ぶはめになるから、「階段を楽しむ」というのはなかなか難しい。このあたりは、意識して階段を移動することを考える必要があるかも。確かに、京町台地にも印象に残る階段はあったし。
 個人的に印象的だったのは、本妙寺の仁王門下の階段かな。上のほうから自転車を押して下りてきたら、いきなり急な階段で途方にくれた印象が。自転車を下ろしながら、下りるには危険を感じる傾斜だった。一方で、眺望はなかなかのものだったな。目の前を新幹線の高架が横切って、台無しになっていたが。結局は、迂回して下に出たのだが、一度本妙寺は歩いてみる必要があるな。上の方の胸突雁木のほうもおもしろかったかな。
 本書の階段では、私道みたいなところにある抜け道の不定形な階段が魅力的だった。