田中芳樹『銀河英雄伝説5：風雲篇』

銀河英雄伝説 (5) (トクマノベルズ)

　ヤンとラインハルトの決戦。互角に近い条件で、正面からぶつかり合うのって、結局この時だけなんだよな。
　フェザーンを押さえ、自由惑星同盟に対する圧倒的な戦略的優位を確保した帝国軍。満を持して、大軍による同盟侵攻を開始する。それを、ビュコック提督以下の同盟軍主力はランテマリオ星域で迎え撃つ。圧倒的兵力差の帝国軍に壊滅状態に陥るも、ロイエンタール率いる別働隊を振り切って、来援したヤン艦隊によって辛くも救われる。
　その後は、ヤンのターンで、同盟全域を兵站とした根拠地を定めない機動によって、帝国軍を各個撃破。ラインハルトは、各提督を分散させ、ヤンをおびき出し、直接決戦バーミリオン星域会戦が生起する。ヤンは粘り強く戦い、ラインハルトを追いつめるも、ヒルダの献策によってミッターマイヤーとロイエンタールの艦隊がバーラト星域に侵入。同盟政府を降伏させ、ヤンへ停戦命令を発せさせる。
　かくして、ラインハルトとヤンの直接対決は、痛みわけといった形で終わる。このあたり、構成に苦労したんじゃなかろうか。油断すると、ヤンの勢いの前に、ラインハルトが敗死しそうな勢いだったし。