田中芳樹『紅塵』

紅塵 (ノン・ノベル四六判)

紅塵 (ノン・ノベル四六判)

 南宋と金がにらみ合う時代。和平を主導し、絶対的な権力を握っていた秦檜が死亡した直後の時代。「抗金名将」の一人、韓世忠の息子、韓彦直は高宗の密命を受けて金国内に潜入する。そこで、抑留されていた前皇帝欽宗が処刑されるところを目撃すると同時に、皇族の完顔雍と会談を行う。後半は、金軍による南宋攻撃をめぐる話。
 こうして要約すると、特にストーリーは無いに等しいな。個々のエピソードが楽しい話。特に、金の四太子完顔宗弼と、韓世忠や呉リンたち「抗金名将」たちの戦いが活き活きと描かれる。つーか、田中芳樹、「抗金名将」好きすぎるだろう。このあたりが、『岳飛伝』につながるんだろうな。未読だけど。