石之宮カント『始まりの魔法使い1:名前の時代』

始まりの魔法使い1 名前の時代 (ファンタジア文庫)

始まりの魔法使い1 名前の時代 (ファンタジア文庫)

 時代を超えて愛し合う男女の物語。そして、シヴィライゼーション的な話でもある。
 高名なオカルト研究者であった主人公は、異世界でドラゴンの幼生に生まれ変わった。独り立ち後、エルフの少女と出会い、さらに、人間族と遭遇。「魔法学校」を作り、人間たちに魔法を教えていくことになる。最初は小規模な集団と遭遇。さらに、徐々に外部の集団との接触で、影響力を増していく。
 そして、最初に「生徒」になった人間族の少女、アイと愛を育んでいく。最初は言葉も話せなかった少女が、徐々にできることを増やし、能力を上げていく。それには、主人公に対する思慕があり、しかし、いかんともしがたい寿命の差が横たわる。プロローグからすれば、6000年の後には再会できるようだけど、その間にどれだけの物事が積み上がるのか。
 文明の礎を気づいたのは、ほとんど一人の少女のためだったということになるのかな。


 人間族の言葉とか、設定的にはいろいろと気になるところはあるけど、「異世界」だしなあ。気にするだけ野暮か。


 対象の名前を認識することで自由に操ることができるというのが、基本的でありつつ、おもしろい。それに、対象を示す呪文を付け加えることで、より強力な魔法を使えるようになると。