橘早月『オーバー・ザ・ホライズン:僕は猫と空を行く』メディアワークス電撃文庫 2004 ISBN:4840227896

誰かは分からないが頻繁に検索している人がいるようなので、急かされるように予定を早めて読んでみた。
表紙とタイトルに惹かれてジャケ買いしたものだが、結論から言えばなかなか良かった。飛ぶことと夢の実現と成長が重ねあわされた、これぞまさしく飛行機物ラノベの王道という作品。飛行機物が好きな人は買い支えるべし。
文章のリズムがあまりラノベ的でないことや渡瀬草一郎さんと同じく地味なこともあり、商業的には苦労しそう。
後半のステラが殻を破って動き出す様が見物。事実上彼女が主人公だろう。逆に悪役はちと物足りない。特にトガはもう少し活躍しても良かったような。
イラストにも一言。口絵の2枚目、3枚目やp193・275・309あたりを見ると、遠景の構図やおじさん、メカに画力の不足が見られる。通常の同人イラストで使われる構図では雰囲気のある絵を描いているので精進されたいところ。最後のほうは時間がなかった様子、ちと残念。