事もなし。なんか体調悪。


昨日は県立美術館の講演会に。先週の続き。
工藤敬一氏の「平安・鎌倉期の阿蘇文書」と春田直紀氏の「中世阿蘇社と阿蘇文書」の2本。前者は、平安・鎌倉期の阿蘇社・阿蘇家全般について。主要な文書をもとに、中世阿蘇社の成立と展開を解説。
中世阿蘇社成立の指標として、阿蘇十二神の成立・阿蘇荘の成立・神主の大宮司=武士化の三点を指摘。第一点は文書上で立証できないが、後の二点は保延3年の「大宮司宇治惟宣解」で確認できると述べている。
以下、11通の文書を紹介しながら、建武期の後醍醐の綸旨によって、阿蘇郡支配の公認、本家・領家職の廃止と三末社の成立までを通観。


後者は、阿蘇文書に含まれる帳簿類の分析。
現状を写す帳簿と原簿として理想状態を示す帳簿の二種類が存在することを指摘。
さらに、これらの帳簿が権利の源泉となる「置文」としての機能を持っていたことから多数の帳簿が写しの形で伝来したとする。
また、現状では文書現物の検討が進んでいないため、今後の研究次第では、これらの議論が覆される可能性も指摘している。