高倉正樹「格差社会が歪める十代の性」『文芸春秋』10月号を読んだ。

朝日の論壇時評に紹介されていて、興味を持った。図書館で閲覧。
簡単に要約すると、地方で十代の性病・中絶の拡大、低年齢化が進んでいる。携帯電話を持つようになる中学一年(13歳)あたりから妊娠している少女が産婦人科に来ていること。
これらの状況は、経済状態が悪い地域(北海道・東北・九州)で顕著であること、家庭崩壊が促進していることが指摘されている。
個人的に一番衝撃的だったのが最後の部分。少女たちが産んだ子供は、海外に養子として多数渡っていること。法が未整備で、野放し状態で、事実上人身売買の状況であること。
改めて思うが、日本政府は人身売買に鈍感すぎる。出稼ぎのアジア女性についても、アメリカから指摘されて慌てて対策をとったが、この件に関しては早期に自主的に対応がなされんことを。
同時に読んだ『中央公論』の精神を病む30代といった特集も含めて、なんというか今の日本社会の荒涼とした情景が浮かんでくる。


あと、同じく論壇時評で紹介されたやまぐちヨウジ「『校訂』という教養」『新潮45』10月号も面白かった。