ポルノ禁止とか言っちゃう大人の人って、、、

「表現の自由とか言っちゃう大人の人って、、、」について。


ひと言でいおう。
こ・れ・は・ひ・ど・い
最初の前提が間違っている。だから、全体がおかしくなる。

コンビニにチョコビ買いにきたついでにコロコロ立ち読みしている小学生の目の高さに、少女を純粋に性的な対象物としてのみ表象するロリ絵が普通においてあるという光景を見るたびに、誰がこれを了解し、これを避けられない理由は何で、これを正当であるとする論理はいかに可能であったのかを軽く考えたりはする。

 この小学生の目の前にあるのは、絶対に一般向けの漫画誌だろう。ポルノな漫画誌は、『コロコロ』が置いてある棚から横に何メートルか水平移動しなければならない。その上で、さらに青シールで封印までしてある。小学生がエロマンガをコンビニでまともに接触するには、コンビニ店員の加担がなければ不可能な程度までは、ゾーニングが行なわれている。この記事の末尾の例のような、意図せざる接触というのはかなりの程度防げる状況にある、少なくともフィクションのパッケージメディアについては(むしろ実写メディア、特に写真週刊誌の方が、そのあたりの縛りは軽いと思う)。
 その上で、「少女を純粋に性的な対象物としてのみ表象するロリ絵」という文言には、「ポルノ」の範囲を無制限に拡大しようとする悪意というか、欲望というか、そんなものしか感じ取ることができない。「性的な対象物としてのみ表象する」というのは、ミスコンへの批判に通じる、割とよくある批判ではある。ミスコンの場合は一定の権威と制度化から、妥当する部分もある。しかし、それを無制限に、社会の全般に広げるのは筋が悪いと思う。なんとなれば、その「視線」は、男性だけに特有なものではなく、女性も発しているものだ。相手を品定めする視線は、自分に自信がもてない「非モテ」な人をよく傷つけている(「ただし、イケメンに限る」というやつだ)。「乙女ゲー」とか、BLにむけられる「視線」は、まさに男性を「性的な対象物としてのみ表象する」ものではないか。肉体的な非対称は確かに存在するが、「視線」については相互主義のものではないか。特に、ボーイズラブの基本的な型の一つであるとされる「強姦されてハッピーエンド」には、それこそ陵辱表現と同様の暴力性があるように感じる。
 この記事の視点は、女性を「無垢な被害者」の立場に固定し、逆に貶める思考だと感じる。また、このような「視線」を問題とする考え方は、容易に女性自身の性的自己表現を抑圧する方向に転換しうることに、もっと注意するべきではないか。今現在、性表現のカジュアルさについては、むしろ女性向けの作品の方が、ガチガチに規制された男性向けよりも、増している状況にある。しかし、ここ数年、女性向け作品への視線は厳しさを増しており、今回の条例改正も主標的は、むしろ女性向け創作ではないかと懸念される。そもそも、伝統的保守にしろ、キリスト教発女性運動にしろ、同性どうしの恋愛という作品群に好意的なはずもない。確かに陵辱表現は「悪の表現」であることには間違いない。しかし、「悪の表現」の抑圧を許せば、それが乱用されてしまう危険がある。「悪」の基準は一様ではない。


 「世間にポルノが蔓延している」というファンタジーに基づき、出版界は自助努力を行なっていないと決め付ける、オタク業界に対する中傷になってしまっていることは自覚すべきだと思う。それは必ずしも、正確な認識ではない。
 確かに、自主にしろ、他律にしろ、基準をつくってしまうと、それにチキンレースをかける動きがでてきて、漏れ出してしまうことはあるのだけれど、『チャンピオンRedいちご』にしても、コンビニに配本されるような本ではない。それなりの本屋に行かなければならないという点で、ある程度能動的に動く必要がある。その点では、ゾーニングは完全に破綻しているわけではないように思う。願わくば、他の人の性的嗜好には寛容に、儀礼的無関心で望むべきではないだろうか。実際に振るわれた暴力には厳しく応じるべきにしても、フィクションについては。



  • 釈明というか、註釈というか

 うーん、頭に血を上らせて書き始めたが、グダグダになっているな。この問題にクリアカットな議論は望むべくもないとは言え。頭が冷えてくると、なんか恥ずかしい。ただ、このエントリの最初が、ポルノの拡大解釈であるとは、指摘させてもらいたい。
 あと、論旨から当然ながら、私はボーイズラブティーンズラブの自由は最大限擁護されるべきだと思う。自分自身でBL作品を見たり読んだりするのは、無理だけれども。これらの表現は、女性の性的自己表現の自由が拡大しているということで、良いことだと思う。読みたくない人に強要されなければ。
 あと、この議論の組み立てだと、私はネット上のフィルタリングには賛成ということになってしまうのだが… うーん。部分的には、賛成ではあるのだが…


メモ:
総論 「やおい」の独断的基本解説
”濡れた欲望”の”実録”:日活ロマンポルノ
『欲望のコード マンガにみるセクシュアリティの男女差』を読む
月刊漫画時評5(阿部 幸弘)  エロマンガの現在?(その3)


100.「ポルノ告発」の胡散臭さ
ここは、今現在よく読めていないのだが、

このような「理想と現実の二項対立」から生じた「正義」は、常に非現実的であり、それゆえに非理性的である。

は印象的。