陸軍燃料廠―太平洋戦争を支えた石油技術者たちの戦い (光人社NF文庫)
- 作者: 石井正紀
- 出版社/メーカー: 潮書房光人社
- 発売日: 2013/05/01
- メディア: 文庫
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本書を読むと、日中戦争まで大日本帝国はほんとうに近代戦を戦う準備が全くなかったことが分かる。泥縄、泥縄と頻出するが、まさにその通りで、いきなり燃料消費が多いことに驚いて、そこから準備を始めるあたり、全然ダメダメ感がある。堀栄三氏の『大本営参謀の情報戦記』にある、参謀本部第二部の対米情報を扱う課ができたのが、1942年であったという準備の悪さとも重なる。それが、逆に研究機関的な自由さを生んだのだが。
多数の元燃料廠関係者への取材から、南方・本土・満州で石油生産に関わった人々の、いろいろなパターンが語られるのが興味深い。簡単だが、戦後の石油産業への影響も触れられている。南方から帰還してきた技術者の受け皿として、日本初のエンジニアリング会社である「千代田化工建設」が結成されたなど。
あと、「野戦作井隊」やそれようの装備についてもちょっと興味を持った。
→エンジニアリング会社の意味
千代田化工建設の歩み(公式)