服部正也氏の「ビッグ・プッシュ」(「ルワンダ中央銀行総裁日記」より)

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 はてなのキーワード経由で。マクロ経済学については良く分からないが、素人でも発展途上国と近代経済の相性の悪さ、援助の問題点などは分かる。
 服部正也『ルワンダ中央銀行総裁日記』へリンクされているが、実際、ルワンダのその後を知るとやるせないものがある。しかし、ここで指摘されている『ジェノサイドの丘』と本書の視点の違いは興味深い。フツ側指導者の国家建設への熱意は本物だったのだろうし、服部氏はフツ族政権の指導者層と親しく交わった上に、虐殺の現場に接することがなかった。このあたりが、著作に影響しているのだろう。フツ族政権側には、政権側の正義があったと言うか。または、「近代」が持つ業とでも言ったらいいのか。ヨーロッパ諸国にしても、日本にしても、近代国民国家形成の途上で、排除や虐殺と言うのは繰り返してきたわけで。後発組はより凄惨になるというべきか、人の死に対する見方が変わったというべきか。
 昨年、『ルワンダ中央銀行総裁日記』は増補版が出て、これにはルワンダの虐殺についても言及されているそうだが。

ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)

ルワンダ中央銀行総裁日記 (中公新書)