小山田和明『聞き書き:築地で働く男たち』

聞き書き 築地で働く男たち (平凡社新書)

聞き書き 築地で働く男たち (平凡社新書)

 築地の魚市場の過去の状況について、聞き書きをまとめたもの。築地市場や近代の市場史に通じていれば、さらにおもしろいのではないかと思うが、そうでなくてもなかなか興味深い。
 本書で話をしている人は、冷凍の魚が流通する前の最後の時期を経験しているが、冷凍以前の状況が興味深い。というか、冷凍や冷蔵が普及する前の魚って、すごく不味そう。なんというか悪くなりかけっぽい。まあ、そのあたりが肉が熟成している可能性はあるけれど。後は、木箱から発泡スチロールへの移り変わりや場内輸送手段が小車からターレーへ変化する状況もおもしろい。あと、昔の築地はもうかっていたのだなとか。