上田伸治『本と民主主義:アメリカの図書館における「表現の自由」の保護と制限』

本と民主主義―アメリカの図書館における「表現の自由」の保護と制限

本と民主主義―アメリカの図書館における「表現の自由」の保護と制限

 表現規制の問題の勉強として。とりあえず、わいせつや暴力描写を取り上げた第一章だけ読んだ。
 しかし、「表現の自由」を掲げていると思っていたアメリカですら、国レベルで表現の規制が最近まで、かなりのレベルで行われていたのだな。郡やらの小規模な自治体レベルでは、特定の作品の排除は日常茶飯事のようだ。国レベルの裁判所の判断と直接民主制を通じた局地での作品の選別が、アメリカの表現規制の特色といえるのだろう。特に最高裁判所の判断の影響力。
 社会の一般通念で判断の基準が変わるというのは、日本でもアメリカでも同じなのだが、それによる規制は正当なのだろうか。ミケランジェロダビデ像が撤去要請や腰巻をつけることになるなんて事例が取り上げられている。いや、腰巻をつけたダビデ像ってのも。ただ、日本においても、あのような裸像を多数の人が見るような場所に展示するには結構難しそうな気がする。美術品やガーデンエクステリアを販売する店なら、文句を言われることはないと思うが…
 ずいぶん前に読んだので、いろいろと忘れまくっているな。