- 作者: ヴィトルト・リプチンスキ,春日井晶子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2003/07/11
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 34回
- この商品を含むブログ (29件) を見る
固定のための用具としてのネジは比較的新しいが、ネジの原理そのものは古代から利用されている。アルキメデスやヘロンといった古代の数学者による、螺旋を利用した道具が紹介される。圧搾機や水揚げネジなど。それがどこまで広がったのかというのを考えるのもおもしろいのではなかろうか。古典古代の学芸を引き継いだ中東、イスラム圏ではどうだったのか。なぜ、そちらではネジというものが発展しなかったのか。中国や東アジアにはネジの原理を利用した装置・道具は伝播しなかった。それはなぜか。日本にネジの原理が入ってくるのは、16世紀の鉄砲伝来。このあたりの技術的情報の伝播というのもおもしろい。
そもそも、本書でもネジの起源をたどるのに、様々な著作や現物の断片的情報をつなぎ合わせている。その点では、このようなモノづくりの技術の歴史の追求というのは、実際に遺物が残っていない限りは、かなり難しいものだと感じる。