『グランドパワーNo.16:第2次大戦のフランス軍用車両』1995/9

 第二次世界大戦のフランス戦車を中心とした特集号。フランス軍戦車とフランス軍機甲部隊の編成と戦歴が中心。
 フランス軍の早期の敗北で、弱そうな戦車しかいないけど、同時代のドイツやイギリスの戦車と比べても、スペック上ではそれほど劣ってはいないんだよな。ドイツの戦車と比べると、エンジン出力が低いとか、中戦車でも一人用砲塔で使いにくそうとか、いろいろとあるけど。つーか、フランス軍戦車って、全般的に乗員数が少ないのが印象的。どういうドクトリンでそういう状況になったのかね。シャールB1でも、4人は少なすぎるように思うのだが。個人的には、ソミュアS-35とか、好きな戦車だけど。今度、タミヤで出るんだよな。楽しみ。
 末尾に、フランス軍の機甲部隊である、機甲師団、軽機械化師団、軽騎兵師団、自動車化歩兵師団、独立戦車部隊の編成と戦歴が紹介されている。機甲師団と自動車化歩兵師団が歩兵科の縄張りで、軽機械化師団と軽騎兵師団が騎兵科の縄張りと分けられていた。騎兵科部隊と自動車化歩兵師団がベルギーに前進して戦闘しているのに対し、機甲師団が機動防御に使われたという配置の違いも興味深い。
 フランス軍機甲師団が兵員3500人程度と規模が小さいのも印象的。ドイツ戦車師団の2-3割程度か。あと、戦歴見ても、右往左往しているうちに補給部隊と分断されて、燃料切れで壊滅ってのが泣ける。装輪車両は道路を移動という命令だったようだが、燃料輸送車も一緒に鉄道輸送すればよかったんじゃね。一方で、ベルギーで前進防御に出た軽機械化師団も結局は、ベルギーで壊滅しているんだよな。
 そうえば、ソミュアS35を初め、オチキスH35やルノーR35が、鋳造部品をボルトで結合して車体を構成する構造を採用している。しかし、この構造は、量産性が高い反面、被弾すると車体を連結するボルトが破断し、分解ないしは戦闘力を失う旨の解説が載っているが、実際のところどうだったのだろうか。最近、はんぱに知識がついて、軍事にもいろいろと都市伝説みたいなのがあるのを知ったが、このフランス戦車の話もその種の都市伝説なんじゃないかと疑っている。本書に収録されている、被弾放棄されたフランス戦車も、ボルトが破断しているような写真はないんだよな。被弾して、車体が分解した実例って、どの程度あるのだろうか。