七宝町七宝焼アートヴィレッジ編『特別展明治の七宝:陶磁胎七宝 図録』2009

 七宝焼アートヴィレッジ図録、二冊目。自治体合併前に刊行されたようだ。
 この特別展のテーマは、素地を陶磁器にした七宝。幕末から明治10年代までは、盛んに作られたが、素地と釉薬の密着が悪く、時間がたつと釉薬がはがれてしまうことから作られなくなったそうな。同じ理由から、現存する作品も比較的少ないとか。
 現在の釉薬の技術で復興したら、どうなるんだろうな。素地を発注する時の取引単位が大きいとか、焼成後徐々に冷やす必要があるので時間がかかるなどの、金属を素地とした七宝と方法が違うというのも壁になるそうだ。加熱温度や時間も、金属素地とは違うのだろうな。失伝してしまっていると。
 熊本には、陶磁器に白土象嵌を施す高田焼という焼き物があるが、その象嵌部分に七宝の技術を応用したら、どういう作品ができるのだろうか。


 冒頭に掲載されている、素地が興味深い。かなり厚く釉薬を盛り上げるのだな。あと、写真を見ると、釉薬が改良される前の「泥七宝」というスタイルなのかな。