伝統工芸館の映像アーカイブ事業のまとめとしての展覧会ということなのかな?
のぼり旗の染め師、鬼瓦職人、伝統玩具「おばけの金太」を伝える人形師、ノコギリの鍛冶師の四者を紹介する。
おばけの金太
伝統的な玩具。紐を引くと目がぎょろりとひっくり返って、舌が出る。外側は和紙を金型で形にするというのが興味深い。紹介されている厚賀新八郎氏は、京都から熊本に移住してきた西陣屋新左衛門以来、250年続く人形師の10代目だそうな。「おばけの金太」は、19世紀半ばに5代目彦七が考案したもの。明治時代直前か。
「おばけの金太」のパターン代わりが展示。からくりくまもん、おばけのにゃー、清正公さん、アマビエ。
十二支のからくり人形。どう動くのだろうか。
新町獅子舞の獅子頭。張り子の獅子頭は珍しいらしい。1959年製作と言われる木型をもとに、2014年に新調されたもの。
鬼瓦
全国で200人ほどしかいないという鬼瓦を専門に制作する「鬼師」の1人。宇城市に1965年に設立された藤本鬼瓦製作所の作品群を紹介。
熊本城天守鬼瓦レプリカ。2020年制作。
古代鬼面。2005年制作。
牛頭天王(ごっどん)鬼瓦。2000年制作。疫神牛頭天王の鬼瓦。コロナが猖獗した今向けの鬼瓦だなあ。人吉では、こういう鬼瓦が割とある、と。
初代制作の鬼瓦。下から見て、一番迫力があるように作ってあるのだな。
ヘラなどの工具。一番奥の部材同士の接合面を荒らす「カキヤブリ」が興味深い。
ノコギリ
土佐鋸の技術を引いた鋸鍛冶、「岡秀」の2代目、岡正文氏の紹介。パネルの工程を見ると、ギザギザの歯を作って、そこに目立てをする必要があるため、すごく手間がかかってる感じ。歯は、一つごとに左右に角度を付けて、おがくずの排出を促すように作ってあるから、ハンマーで叩いて、角度を付けている。
歪み取りの槌の形状の今昔。かつては、刃先だけ焼き入れしていたため、他は柔らかかった。しかし、これは真っすぐに歯を入れられないとぐにゃぐにゃまがるため、技術が必要で、現在は全体に焼き入れするようになったという。
その時代の槌は、歯を延ばしやすいように、先が平坦な形状だった。しかし、現在では平らだと伸ばしにくいので、尖ったものに変わったという。