悠十『乙女ゲームは終了しました 2』

 文庫になったのでダウンサイジングで入れ替え。
 北斗の拳的な劇画世界の住人が、乙女ゲーム世界の人々の空間に乱入して混乱に陥れる系コメディの2巻目。
 前回、王子の婚約破棄からの、アレッタの婚約者が「悪役令嬢」に走るという事件を、ベルクハイツの当主が出張って、その迫力で始末を付けた後、もともとの本命だったフリオと婚約。しかし、またしても、フリオに試練が。ウィンウッド王国の学園で起った婚約破棄劇が乙女ゲームの1作目で、続編がカルメ公国の学園を舞台としたもの。王太子が転生ヒロインに夢中になっているところで、攻略対象の婚約者たちが見切りを付けて海外に留学。その「悪役令嬢」のうちの2人が、アレッタたちがいるウィンウッド王国へ留学してくる。
 1人は王太子妃候補。で、もう1人の子爵令嬢が前世持ちで、ヒロインを出し抜いて、隠しキャラであるフリオ狙いだった。しかし、フリオは、無事、「初恋の人」であるアレッタと婚約してしごく満足しているところに、都合の良い思い込みで突撃してくる子爵令嬢。
 ゲーム知識に踊らされて暴走する子爵令嬢にストレスをためまくるアレッタとフリオ。しかし、子爵令嬢は裏社会に依頼して、学園祭にならず者を侵入させて、イベントを起こそうと謀って露見したことで自滅。
 裏社会の人間にとって、ベルクハイツの歴代男性陣は分かりやすい劇画顔で警戒して避ければなんとかなるけど、普通の令嬢にしか見えないアレッタは区別が付かず、うかつに遭遇して狩られてしまうという。初見殺しに外見詐欺か。平凡な令嬢が実は最強で、軽々と大剣を振り回すギャップが。
 そして、なんか男前で、フリオが捕食される側というw


 というか、ベルクハイツ勢の巻き添えの器物破損ぶりがw


 あとは、アレッタの先輩で、兄グレゴリーの婚約者、公爵令嬢マデリーンのお話。学園祭でグレゴリーとデートするお話。とりあえず、劇画キャラなグレゴリー相手に、恋する乙女モードなマデリーンさんがすごいw
 こちらも、潜入したならず者のおかげでデート水入り。というか、マデリーンとグレゴリーのデート、絶対外野に邪魔される運命なのね。


 「愉快なベルクハイツ領編」は、ベルクハイツ領の漢女部隊のインパクトが全てなお話。モンスターが大量発生し、生と死の間を駆け抜ける私兵部隊では開けてはいけない扉を開けてしまう人間が一定数出る。結果として、ムキムキマッチョな漢女たちが大量発生。ポジティブナルシストモンスターってすごいなw
 普通に認めて接してくるアレッタを大事にしている漢女部隊の面々は、アレッタを裏切った元婚約者ルイスに怒り心頭。ルイスがベルクハイツ領にお持ち帰りされたから、懲らしめてやろうと演習の模擬戦の機会にルイスと直接対決する。
 とりあえず、隊長を仕留めた救護部隊の隊長がかっこいいw
 そして、反省したルイスは劇画戦士への道を歩む。


 文庫書き下ろし番外編は、これまた漢女部隊のお話。
 ベルクハイツ家の面々、人間離れしたパワーをもつため、下手に人間相手にスキンシップすると怪我を負わせてしまう。ある程度力を制御できるようになったら、今度は貴族としてダンスの練習が必要になる。そこでお相手役になるのが、頑丈で多少乱暴に扱っても平気な漢女部隊のメンツ。おかげで、男性陣にとってダンス練習は軽いトラウマ、とw
 なんでも卒なくこなす三男が、ダンスに関しては一番苦労しているのかw