- 作者: 広瀬崇子,小田尚也,山根聡
- 出版社/メーカー: 明石書店
- 発売日: 2003/07/28
- メディア: 単行本
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政治・経済・文化・地理・社会の現状などトピックが過不足なく取り上げられていて、パキスタンの現状を大まかに押さえることができる、便利な本。
本書を読んでいて一番驚いたのは、イスラム教のイスマーイール派の現状である。イマームの家系が続いていて、そのイマームがアーガー・ハーン財団を組織していること。中央アジアの山岳部、例えばタジキスタン東部のパミール高原に、信者が多いことは知っていた。しかし、イスマーイール派の中核がかくも近代化し、今の代のイマームがフランスはパリ近郊に住んでいるとまでは思わなかった。そして、アーガー・ハーン財団が大学や病院を運営し、パキスタンから中央アジアの山岳地域で大規模NGO活動を行っていることも。インドの交易都市に拠点を置いて、イスラム系のビジネスエリートを束ねているという歴史的経緯があるためだそうだ。
イスマーイール派と言えば、「暗殺教団」やら中世の過激な集団という思い込みがあったためだが、世の中不思議に満ちていると思った。