ヒルズ巡見を終えて(江戸をよむ東京をあるくさん)

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ヒルズ巡見を終えて その1
ヒルズ巡見を終えて その2
ヒルズ巡見を終えて その3
ヒルズ巡見を終えて その4
ヒルズ巡見を終えて その5 景観からの疎外


六本木ヒルズ、赤坂アークヒルズ表参道ヒルズ巡検の記事。
アークヒルズの衰退、表参道ヒルズの設計の妙、景観を誰が制御するか。
森ビル社長の「私たちは六本木ヒルズなどを開発することで、これからの都市再開発にひとつの回答を示したと自負しています」(→http://d.hatena.ne.jp/taron/20070502#p2)と裏腹の現実。


その2で赤坂アークヒルズの廃れぶりが非常に興味深い。というか笑える。

森ビルのトップが、どっかの週刊誌の対談で、新宿の高層ビル街は、面としての開発が出来ていないためビルとビルとが孤立しているなどと馬鹿にしまくっていたが、そっちの街路の方が、同じ曜日、同じ時間なら、アークヒルズよりずっと賑やかなのは確実だ。

 森ビルいわく、アークヒルズの開発理念は、単なるビジネス街ではなく、「多彩な都市機能」を「ひとつの街の中に融合させた」、「文化発信」の空間を作ることにあるそうだ。
 そうした「多彩な都市」として「成熟」を重ねてきたという森ビルの自画自賛と、無人の広場でツリーが寂しく無意味にピカピカしている姿との間には、かなりの隔たりがある。

この手の箱物による、中央集権的な開発には限界があるということ。最近問題になりつつある、ショッピングモールの末路もこんなものだろう。地域の商業を破壊しまくったあげく、地域の都合も考えず撤退なんて事態が、20年もすれば頻発するのだろう。ショッピングモールが新規出店によって儲けをだすビジネスモデルという、自転車操業的スキームを採用していることから、潮目の転換はけっこう早いだろうとも思う。


山岡光治の『地図に訊け!』(ISBN:9784480063656)の16ページに、

「福岡市のキャナルシティも含めて、施設の設計者は、ジョン・ジャーディ氏(John Jerde、アメリカの建築デザイナー』であって、彼の作り出した街は、『曲がり角の先に何があるのだろう?』という想像する楽しさを体現させる」
のだという。アメリカで成功した再開発のコンセプトは「街の中の街」で、…

とある。外国直輸入のコンセプトで、ローカライズに失敗したという側面もあるのかもしれない。アメリカのようなまっすぐの街路ばかりの都市が多い国では成功するかもしれないが、日本人の空間の好みには余りあっていないのかも知れない。