北海道旅行の記録

家族旅行についていた。
手続きもなにもかも、人任せで、ついていった。ガイドブックも用意していない、行き当たりばったりだったが、なかなか楽しかった。むしろ計画の不備をいいことに、自分の好みの誘導しまくったような…
とりあえず北海道は涼しかった。熊本は暑い…

  • 一日目

 朝から熊本空港に。羽田経由で、女満別空港へ。両方の便で窓際の席をゲット。九州から関西あたりまでは、曇りで地上は見えず。翼の直後辺りの席で、フラップやエルロンの動きを観察できてなかなか面白かった。大阪湾上空あたりから雲がとれて、地上が見えるようになる。
 羽田着。でかい空港。意識して旅客機を見るようになってから、はじめてジャンボと遭遇。一度乗ってみたいところだ。輸送能力や燃費の問題で、国内線ではほとんど使われていないのだろうけど。
 羽田では、本屋をのぞいたり、展望台で飛行機をみたり、写真を撮ったり。大型のコンテナ船や作業船も見えて楽しい。以下、羽田で撮った写真。




 羽田からは、エアドゥのボーイング737-400で女満別空港へ。使用機は、こう言っては何だが、少しボロい。まあ、今では前世代の737は貴重か。小型の機体でも、キャビンアテンダントの人数が結構いて、小型機はあまり効率がよくないのだなと思った。窓際の席だが、ほぼ曇り空。着陸直前に、屈斜路湖とその西側の斜面がクリアに見えた。着陸時のショックが大きくて、ちょっと驚く。ドスンって感じだったが、機体は大丈夫なのかな?
 空港でレンタカーに。網走湖沿いに、北見国道を北上。網走監獄博物館の前まで行って、その後、北方民族博物館へ。道立だけに、なかなか充実した展示。アイヌだけでなく、北方の各民族を見渡した展示で、興味深かった。19世紀に遡る史料も展示してあったので、まとまったコレクションを基礎にしているのだろう。北極圏周辺に住む諸民族と周囲の環境の関係、諸民族の共通性がうかがえておもしろい。交易品の部分が特に。
ミュージアムショップに出版物がかなり置いてあったが、このあたりに手を出すことはなさそうなので、買わず。結構時間を食う。
 続いて、能取湖のサンゴ草群生地へ。よく知らないが有名なところらしい。能取湖に流れ込む川の河口沿いの湿地に形成されている。汽水域なのだろう。少し色づいていて、美しかった。

 その後は、海岸沿いに、宿泊地の知床半島のウトロまで移動。途中のコンビニで、情報不足にいらだった私は、地図帳を購入。北海道の東岸は、潟湖が多い印象。網走市街から東には、藻琴湖、濤沸湖、濤釣湖などが続く。潟湖の砂州は、たいてい原生花園になっているようだ。自転車で、網走を拠点にこの近辺を走り回ったら楽しそう。道の駅に止まったが、閉まっていた。5時以降は営業していないようだ。その後はウトロまでノンストップ。緩やかな起伏に畑が広がる光景は、本州以西では見られない光景。土地の境界に一列にエゾ松(?)が植えてあるのアクセントになっている。道がまっすぐで、かつ曲がるときには急カーブなのも特徴か。延々まっすぐな道が多い。宿泊はホテル知床。ウトロの後背の山の一番上にあるホテル。バイキングが美味しかった。



  • 二日目

 朝食もバイキングを楽しむ。チェックアウト後、観光船でクルーズ。ゴジラ岩観光の船。大きめのオーロラでのクルーズも、なかなか良さそうだが、小型船の方が沿岸に近づくことができて面白い。
 知床半島の川の河口には定置網が設置してあり、鮭や鱒が豊富なことをうかがわせる。鮭釣の遊漁船が多数出ていた。スロープからクルーザーを陸揚げして、トレーラーで運ぶRVが多数。写真を撮っておけばよかった。先端と根元で地質が違ったり、奇岩が多数。浸食作用が激しいのか、河口が礫で覆われているのが印象に残る。硫黄の採掘跡も興味深い。往路には、熊を2回目撃。
観光船 一番大型のオーロラは、砕氷構造。冬場は流氷観光に使われているようだ。
ゴジラ岩観光公式


 昼食後、来た道を引き返す。ちなみに昼食はうに丼
 途中、三段の滝、オシンコシンの滝、鮭の人工孵化施設を見る。オシンコシンの滝はなかなか美しかった。あと、川を大量の鱒が遡上しているのを目撃。川底が見えないくらいたくさんいた。あれだけいれば、一冬の食料になるわな。
 その後、斜里町知床博物館に。一階は歴史、二階は自然関係の展示。こうしてみると、本当に現在の北海道の景観は最近形成されたもので、なかなか開拓が大変だったことが分かる。動物の剥製が多数。それだけ鳥類・哺乳類の数が多いのだろう。
 続いて、宿泊地の川湯温泉へ。斜里、清里、野上峠経由で、弟子屈町に入る。まず、摩周湖の展望台へ。夕方。神秘的な光景。ついでに結構寒い。展望台の店で買い物。
黄山の横を抜けて川湯温泉へ。硫黄の匂いが強い。噴煙が出ている活火山。翌日見たアイヌ民族資料館の展示によると、硫黄山の形成は2000から500年前と、つい最近のこと。こんな火山のそばに集落を作るのは、なかなかのものだ。川湯温泉の源泉は、この火山に由来するものだそうで、かなり酸性度が強いそうな。
 夕食前に、土産物屋を一回り。非常に高度成長期あたりの温泉地らしい景観。最近では、少々寂れ気味なのかもしれない。木彫りの店が多数並んでいる。昔懐かしい感じのキーホルダーが100円だったので購入。夕食も、まあ温泉地らしいもの。



  • 三日目

 このあたりから移動距離が長くなる。この日は、屈斜路湖、阿寒湖に寄り、国道241号を足寄まで移動。足寄から道東自動車道を突っ走り、狩勝峠経由で、富良野宿泊。この日は、旅行中一日だけ、天候が崩れた。
 8時半ごろチェックアウト。その後、砂湯温泉で波打ち際に出たあと、アイヌ民俗資料館に入館。それほど大きな博物館ではないが、アイヌ人が使用していた道具が多数展示。アイヌ専門の資料館はそれまで入っていないので、新鮮だった。ただ、交易の生活の中の意義があまり見えないのが気になる。アイヌは中国・日本間の中継交易によって、鍛冶や農耕の生業を放棄した人々であることが見えてこないように思う。
 続いて阿寒湖へ。国道241号から少し入ったところ。ホテルやみやげ物屋が建て込んでいる。車で湖岸に入るのも一苦労。これはどうかと… 曇りで視界が悪く景観は楽しめず。その後、阿寒湖のアイヌコタンに入る。観光施設の集合体。アイヌ民芸のみやげ物や多数並ぶ。踊りは見なかった。
 再び車上の人に。足寄国道を西へ。途中の螺湾という集落では、日本一大きいという螺湾ブキというフキが特産のようだ。観賞ほ場があるそうだが、ここはスルー。一日目の朝食に、大きなフキの煮物が出ていたが、これが螺湾ブキだったらしい。足寄市街の道の駅で休止。元鉄道の駅を転用したもの。ここの喫茶室で昼食をとる。喫茶店でカレーを食べるのは久しぶりかも。なんか近所のお年寄りの憩いの場だったらしく、ちょっと闖入して悪かったかなと思ったり。足寄の駅前は少し古めの建築が並んでいて面白い。二十世紀中盤の商店建築というか。そういえばアメリカ陸軍の軍人さんが、野戦服姿で道の駅をうろうろしていたけど、なんか演習でもやっていたのだろうか。




 昼食後は、私の主張で足寄動物化石博物館に入る。ここは素晴らしい。この近辺では海生哺乳類の化石が多数出土するらしく、デスモスチルスの仲間の骨格化石などが多数収蔵されいる。作業室がガラス張りで、タイミングがあえばクリーニング作業が目の前で見学できるようだ。入館しいていたときは、レジンか何かと石膏型でレプリカを造っているようだった。時間がなかったのと、リサーチが甘かったので、展示を見ただけだが、レプリカ製作の体験や展示の解説ができるようだ。鯨の全身骨格標本がでかくて迫力ある。保存状態の良い、綺麗な化石が出るので、楽しめる。
 この博物館はまさに地元の化石を地元で研究しようとする博物館で、その姿勢には好感が持てる。維持費もけっこう負担だろうが、頑張って欲しい。あと、欲を言えば、ネット上で研究成果の公表や関連情報のリスト化も出来ないかな…
 その後は、南富良野の道の駅で小休止を取った以外、富良野まで車に乗りっぱなし。道東自動車道はものすごく空いていた。対向車がほとんどいない。札幌周辺を除けば、北海道の道路は概して交通量が少ないが、特にこの高速道路は少なかった。十勝平野の景観を楽しむ。完成区間の終わりで一般道に下りて、狩勝峠へ。トラックに悩まされる。マナーが悪いのが一台いた。狩勝峠は完全に霧に覆われていて、なかなかの恐怖を味わう。5時過ぎに富良野着。ふらのワイン工場に行ってみるが閉まった後。ホテルにチェックイン。ホテルはスキー場下のベルヒルズ。なんかこのスキー場周辺が新興住宅地チックな景観でちょっとアレな感じ。食事は結構美味しかった。



  • 四日目

富良野、美瑛、旭川を廻り、道央自動車道に乗って札幌へ。札幌で宿泊。
この日も8時半ごろにはチェックアウト。ふらのワイン工場へ。家族が試飲してワインを買う。私は酒を飲むと体力が削れるのでパス。結局、この旅行の間一回も酒を飲まず… その後北上。このあたりから水田が増えて、本州的な景観に。道東方面とは気候がかなり違うのだろうか。
 その後、美瑛へ。駅前の観光案内所でドライブルートを教えてもらった後、西の丘陵地帯へ。地図上でも、この地域だけ不定形で不思議に思っていたのだが、起伏に富んだ地形に畑が広がり美しい。丘陵上は畑地、谷に人家と小さな林。バランスが美しい。西北の丘の展望台に登った後、ケンとメリーの木やセブンスターの木などを廻る。駅前にはレンタサイクルがあったが、ここまで起伏が大きいと自転車では結構辛そう。マウンテンか電動自転車でないと無理だろう。ただ、景観は素晴らしく、自転車を使う価値はありそう。

 続いて、旭川市へ。最初の目標は旭山動物園。規模や動物の種類はたいしたことないが、細やかな配慮が気持ちいい動物園。われわれは駆け足で廻ったが、動物がよく動くので、ゆっくりと見ていてもあきないだろう。ただ、ペンギン、アザラシ、白熊などの海獣の展示施設は人大杉
 サル類の展示に工夫がしてあって楽しい。クモザル・テナガザルの類が、ロープなどを使ってよく動き回るので、楽しめる。ただ、観客の真上まで出てこれるようにしてあるのは、糞尿の爆撃をくらいそうでちょっと怖いな。あと、カピパラかわいいよカピパラ。あのぽてっとした体は水草を消化するためなのだろう。かばと同じような適応か。ついでに言えば、あのくらいとろくて大きさが手ごろだろ、狩りの絶好の獲物だっただろうな。あとは、レッサーパンダが笹食ってるとことがかわいかったとか、狐や狸の展示で昼間巣穴に隠れているところが見えるようのぞき窓がつけてあるところなどが印象に残っている。アフリカタテガミヤマアラシがでかかった。カピパラとペンギンのぬいぐるみを買ってしまう。



 その後は、二手に分かれる。伝統美術工芸村組と旭川市博物館組。旭川市博物館は上階の展示が面白い。展示室内に、アイヌのチセや屯田兵の兵屋などが再現されていて、中に入ることもできる。兵屋は靴を脱いで上がってもいいらしい。住居と民具が一括して展示してあるのが、いいアイディア。下階は通常の展示。外周が歴史。中央部に自然関係。比較的近年の絵葉書や写真のコレクションがきっちり残されているのがいい。
 続いて、少し時間があったので北鎮記念館へ。開館時間は4時までだったが、ちょうど館内から出てきた管理職らしき人に入れてもらう。その節はお世話になりました。時間が時間だったので駆け足でまわる。つい最近新装したので綺麗な建物。旧軍の第7師団は、有名な戦闘のほとんどに参加しているのだな。各種の小火器類や砲弾の実物が見られる。ソ連軍の対戦車ライフルが印象に残る。
以下、他サイトの北鎮記念館訪問のページ:
旭川北鎮記念館
陸上自衛隊旭川駐屯地 北鎮記念館


 その後、合流。道央自動車道で札幌へ。地図で見ると、石狩川三日月湖が多いな。それだけ流路の変遷が激しく、また河川改修もあまり受けていないということだろう。美唄市以南の石狩平野は広かった。
 駅近くのホテルにチェックイン。その後、歩いて夕食へ。キリンビール園は遠かった。途中で時計台を見る。三大がっかり観光地のナンバーワンだそうだが、なかなか上品な近代建築で悪くないと思うのだが。で、キリンビール園でがっつりとジンギスカンを食う。満腹。帰りは地下鉄を使う。遅くなったので買い物はできず…



  • 最終日

 この日も八時半にはチェックアウト。旅行中は早寝早起きだった。
 歩いて北海道大学総合博物館へ、のはずが場所を間違えて北海道大学植物園へ。またリサーチが甘かった。途中で北海道庁旧庁舎を見る。落ち着いた雰囲気の建物。



 植物園の受付で間違いが分かり、北大のキャンパスへ。やっと、北海道大学総合博物館に到着。さすがに広いキャンパスだな。中心部の近くにこんなでかいキャンパスを確保している大学は、あまりないだろうな。
 総合博物館は、北大の歴史、各種の標本類(主に生物・地学系)、特別展に分かれていた。相当のボリュームがあり、ゆっくり見てまわったら一日仕事だろう。基本的には、やはり理系の標本類が収蔵品のかなりの部分を占めるようだ。各種の観測機器、化石の標本、生物の標本が多数あった。解説もなかなか頑張っている。また、『昆虫記』出版100年記念で、「ファーブルにまなぶ」展が開催されており、多数の昆虫の標本や昆虫の生態の解説、昆虫の生態研究の歴史などのパネルが展示してあった。
 そう言えば、川湯温泉の土産物屋でクワガタを捕まえた事を思い出した。なんか20年ぶりくらいに触ったな。弱っていたのか抵抗はあまりなかった。かわいそうなので、植え込みに放してやったが、どうなったことやら。
 本来は北海道開拓記念館にも行きたかったが、時間切れであきらめる。めろんぶっくすやボークスショールームにも行きたかったのだが… 昼食は、札幌中央市場の場外市場で。大量のかにやらなんやらが売られていた。切り落としやあらが安かったから、地元の人なら、結構リーズナブルに楽しめそうだ。
 その後、札幌を離れ、新千歳空港へ。北大の北の端に牛がいるのを目撃。高速に乗って空港近くのレンタカー営業所まで。千歳空港って、札幌から相当離れているのな。レンタカー会社のバスで、空港へ。空港のショッピングセンターで買い物を楽しむ。お土産の補充など。
 しかし、千歳空港ってなんか飛行機の見学がしにくい。搭乗ロビーでも、展望デッキでも、建物の壁から1メートル以上はなれたところに柵があって、かぶりつきで見られないようになっている。何のつもりだ、全く。そう言えば、どこでも展望デッキは排ガス臭いが、やはりそれだけ旅客機は排気ガスを大量に放出しているのだろう。



 飛行機に搭乗。窓際の席を取られた上に、天候も悪かったので不貞寝。羽田直前まで寝る。すごいキレ気味。着陸時の逆噴射がものすごかった。羽田では、トランジットの通路で、搭乗デッキへ。羽田空港のPR誌を取り損ねる。やはり見敵必戦か…
 羽田から熊本では窓際の席を確保。主翼の真上で視界はあまりよくない。台風の最外縁の雲がかかっていたので、関西まで曇り空。ぐらぐら揺れる。ついでに離陸時に待たされる。四国北岸の夜景を見ながら飛行。九州直前から、気象が悪化。寒冷前線でも通過中だったようだ。熊本市上空をかなり大回りして、着陸。
 夕食は、時間が遅かったので、ジョイフルで。味には期待していなかったが、焦げてるのはいくらなんでもないだろ。さすがにがっかり。帰宅。暑さにものすごくうんざり。湿度が高い。