『空港をゆく』

 イカロスMookの「ゆく」シリーズ掃討作戦開始。いま、市立と県立から借り出したのが、合計で7冊手元にあったりする。本書は、空港をテーマにした一冊。空港の土木的側面を扱った第一章、空港の運用を扱う第二章、空港の案内表示や航空機用の表示を扱った第三章、歴史や基礎知識をおさめた第四章から成る。
 第一章は土木系。埋め立て系の空港の扱いが多い感じ。羽田空港D滑走路の埋め立て・桟橋建設、洪積層の収縮も考慮した関空の埋め立てと不等沈下対策、最初の海上空港である長崎空港の工事など。丘陵上、谷を埋め立てて、125メートルの標高差の斜面を作り上げたり、突き出た巨大トラス上の進入灯あたりが見所の広島空港。除雪対策がすごい新千歳空港。河川敷の富山空港などなど。後半の廃空港を訪れた記事も興味深い。
 第二章は空港の運用の話。セキュリティ・チェックや手荷物搬送システム、地上作業に使われる車。さらに、後半は危機管理として、東日本大震災の時の仙台空港や消防、警察のお話。手荷物のシステムがすごいな。成田空港では、こういうシステムになっているのか。あと、個人的にはTT車(トーイングトラクター)がかわいくて好き。
 第三章は、客に対する表示システムや、航空機の動きを支持する地上表示など。円滑に運行するために、いろいろと工夫が凝らされている。羽田空港では、表示を整理した結果、見やすくなったとか、飛行機案内のパタパタ表示機の運用とか。今、フラップユニットを作っている会社は、イタリアの一社だけなのだとか。まあ、そんなに需要のあるものじゃないしな。滑走路やエプロンの表示はよくわかんない。
 第四章は空港の歴史や用語集など。空港建設時の反対運動について、ページが割かれている。成田空港の反対運動は有名なところ。しかし、「戦後に入植した開拓民が多く、土地にそれほどの執着はないだろう」と考えて、事前の打診をやっていないって、どういう考え方なんだろうな。自分の手で苦労して拓いた土地を、いきなり居丈高に売れとか言われるほうが、反発が強いと思うが。さらに、初期の対応が力ずくだったのが、傷を大きくしたんだな。で、半世紀たっても、成田空港は当初の予定通りにできていないと。あとは、石垣島の新空港構想で、白保のサンゴ礁保護運動が起きた話とか、静岡空港で知事が辞職した話とか、神戸空港反対運動とか。神戸空港も、何考えて作ったのかわからない空港だよな。