「国交省懇談会:宅地開発の規制提言:全国で52万ヵ所土砂災害の危険地域」『熊日新聞』2008.2.20、3面

 国土交通省の土砂災害対策懇談会の提言。社会資本整備重点計画に反映させるそうな。
 現在、土砂災害の危険がある地域は、「警戒区域」「特別警戒区域」に指定され、そのうち後者は「市街化区域」からのぞかれているそうだ。しかし、全国に52万ヶ所ある危険地点のうち、特別警戒地域に指定されているのは2万6千箇所だけ。他は野放し状態で、規制がない。
 そのため、特別警戒区域の指定拡大と危険地点の市街化区域からの除外が提言されている。


 しかし、今頃かよという感想しかない。しかも不十分。
 ちょっと、あちこち歩いてみると、土砂災害だけでなく、湿地や水害にあいそうな場所が大規模に宅地開発されている。で、その住宅を守るために、大規模な防災工事が行なわれている。はっきり言って、資源の無駄使い。そもそも危険度が明らかに高い土地の宅地開発は40年前には規制されるべきだった。家を買う一般消費者は明らかに災害危険度などについては情報弱者なのだから、それを保護する規定があってしかるべきだし、その脆弱な土地を守るためにこの公的財政が苦しい時代に金がかかる工事をやっている。自然環境も破壊される。もったいない。

 ただ国交省によると、宅地開発が制限されると、地価が下がることなどを理由に地権者が特別警戒区域の指定を嫌がるケースもある。
 このため指定拡大に向け、地権者の理解を得ることが課題となりそうだ。

正義ぶって言うとだな、自分の金のために他人の命をないがしろにするような人間のことなど顧慮する必要ないだろう。積極的に指定していっても構わないと思う。
その指定の透明性は確保する必要があるだろうけど。


土砂災害対策懇談会
中期的な展望に立った土砂災害対策に関する提言