瀬尾つかさ『円環のパラダイム』

円環のパラダイム (一迅社文庫 せ 1-3)

円環のパラダイム (一迅社文庫 せ 1-3)

 バラバラの破片に分断され、一歩通行の「ゲート」でつなげられた「ゲートワールド」。そこは、多数の種族が争う厳しい世界で、ほとんどの人類は生き延びられなかった。そのなか、有力勢力「円環族」の庇護を受けた「学校」は例外的に安定と文明的生活を維持できていた。しかし、そのために円環族の敵対勢力に目を付けられ…
 といった話。話そのものは、ラノベにありがちな学園バトル青春恋愛といった感じ。しかし、SF的ガジェットに満ちた背景世界が独特の魅力を放つ。構成もなかなか変わっている。
 しかし、結局のところ、魅力的な背景世界がほとんどブラックボックス状態で放置されてしまったのが残念。もっとこう、SFマインドに満ちた話もできそうだが。まあ、ラノベでは無理か。あと、タイトルが特に内容と関連していない件について。
 この作者、『クジラのソラ』以来、気に入っているのだが、なかなか売れないなあ。もったいない。こんなに面白いのに。『白夢』シリーズも打ち切り状態だったしな。