アブデルラーマン・アユーブ他著『図説都市の歴史4:北アフリカのイスラム都市ウム・エル・マダヤン:旧石器時代から現代までの変遷史』

北アフリカのイスラム都市ウム・エル・マダヤン 旧石器時代から現代までの変遷史 (図説都市の歴史)

北アフリカのイスラム都市ウム・エル・マダヤン 旧石器時代から現代までの変遷史 (図説都市の歴史)

 なんかここのところ本を読む気分が落ち込んでいるので、絵本に手を出してみる。西地中海南岸の架空の都市が、どのように変遷してきたかを、イラストを中心に描く。場所としては、アルジェリアからチュニジアにかけての沿岸部のどこかのようだ。ざっと、グーグルマップを見た限りでは、アルジェリアのアルジェとオランを合成したような感じなのかな。チュニジアのビゼルトを含めて、似たような条件の都市は結構あるみたいだな。少なくとも、旧カルタゴ、現チュニスではないようだが。いや、しかしあの特徴的な円形の軍港はカルタゴにしか残っていないようだし…
 内容としては、イスラムの征服活動のあたりと、近代の植民地化についての記述が気になったくらいか。特に植民地支配の問題に関しては、ずいぶん遠回しな物言いだなと感じた。あとは、もう少し解説というか、何がどこにあるかとか、生活に関する情報が欲しかったかな。
 紀元前2000年頃の鉄器時代の村、フェニキアの植民都市、ローマの植民都市、さらにイスラム都市となり、19世紀以降は植民地化、郊外に新市街と近代的な設備の形成といった、アウトラインがさっくりと分かる。興味深いのは、鉄器時代の村落かな。要塞兼用の穀物倉庫の周囲に竪穴から横に居室を掘った地下住居が広がる風景。フェニキア不定形な都市からローマの格子型都市プラン、さらにイスラム式の不定形プランと、都市プランのスタイルの違いも興味深い。