揚陸艦艇入門―敵前上陸するための数多くの艦船 (光人社NF文庫)
- 作者: 大内建二
- 出版社/メーカー: 潮書房光人社
- 発売日: 2012/12/31
- メディア: 文庫
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しかし、こうして揚陸艦艇の歴史を振り返ると、日本はわりあい先進的で、欧米あたりが考えたアイデアの大半は早い時期か同時期に、似たアイデアを試したり、実用化しているんだよな。日本が実際にやっていないのはドック型揚陸艦や揚陸指揮艦くらいのものではなかろうか。大発のような揚陸艇に関しては、本書でも指摘している通り、世界に先んじているわけで。まあ、同じようなアイデアが並行的に試されている場合、結局のところ、生産能力の格差が目立ってしまうわけで。なんと言うか、もう貧乏が悪いんやとしか言いようがない日本とアメリカの差。
あと、兵員輸送時の船内の環境に関しては、日本もアメリカも、なんか大差ないように見えるのだが。まあ、日本の穴倉暮らしはちょっと酷過ぎるが、アメリカの兵員輸送艦も撃沈されたら、結構な惨事になったのではなかろうか。
日本陸軍の上陸作戦時の最大の弱点は、この物資の輸送手段にあったといえる。当時は日本国内の自動車輸送の未発達から、軍隊といえどもトラックなどを輸送手段として潤沢に使うという環境にはなく、この機動力の絶対的な不足が太平洋戦争における日本軍の大きな欠陥であった。p.128-9
うーん、日本だろうが、アメリカだろうが、制空権のない状況で上陸作戦を行えば、物資を燃やされるのは避けがたかったんじゃなかろうか。アメリカ軍が、そのような状況を回避しえたのに対し、日本軍が制空権のない状況での上陸、内陸への輸送を強いられただけのように思う。