渡瀬地蔵堂「道路改修記念碑」

 以前にも取り上げたが、今回、背面の経緯などの碑文も読みとれたので再掲。碑文によると、昭和6年の陸軍特別大演習に対応するため建設されたそうだ。地主に用地を無償提供させるあたりに、いろいろと裏で何があったんだかって感じだわな。感覚としては国体の時に道路を整備しまくるようなものか。
 釈文はかたかなを平仮名に、旧字体新字体に改めた。あと、台座の寄付者名簿は例によって省略。




石碑正面

道路改修記念碑
  第六師団長椎名浩平書



石碑背面上段

畏くも 今上陛下御親統の陸軍特別大演習は昭和六年
十一月我熊本県下に挙行せられたり此時に方り我第六
師団と市当局に於ては渡鹿帯山両練兵場を結ぶ道路改
設の希望あるを聞知し渡瀬区民は奉公の誠を献ずは此
 秋なりとし一斉決起し下記代表者により両当局に陳
情せり素より微力なる区民の独りよくする所にあらず
其の改修費が実費の三分の一に充たさる為め軍部に兵
力を仰ぎ地主に無償提供を求むる等代表者の犠牲的努
力並に区内総動員の活躍に依り完了し以て大観兵式○
御盛儀に遺憾なく利用せらるることを得たり茲に之を
永久に記念の碑となす
     昭和九年十一月
         熊本市長  山隈 (康)記
         貴族院議員 



石碑背面中段

道路改修陳情並斡旋者
陳情顧問 松田太郎平
委員長  加賀山茂
町顧問
副委員長 坂本末吉
町総代
副委員長 上田興太郎
衛生組長
委員組長 渡瀬虎太郎
委員組長 内村藤蔵
委員   西本慶蔵
斡旋者  吉良虎蔵



石碑背面下段

記念碑建設発起者
建設顧問 渡瀬虎太郎
委員長  坂本末吉
副委員長 上田興太郎
同    渡瀬辰麻
委員   松田太郎平
同    内村末喜
同    石原弥一郎
同    渡辺亀蔵
同    西村寅雄
同    本田武義