物草純平『ミス・ファーブルの蟲ノ荒園』

 とりあえず、ヒロインはもっと年齢が上と思っていたら、ずいぶん若かった。
 巨大な蟲(ギブル)が跋扈し人類社会に脅威を与えると同時に、その死体から採取できる燃料で産業革命が進んだ、スチームパンク的な世界観。開国間もない日本からフランスへの留学に行く途上、乗っていた客船が何者かに襲われ、襲撃者と戦い海に落ちた主人公、秋月慧太郎は、シエルバレを駆る少女アンリ・ファーブルに助けられる。客船襲撃の濡れ衣を着せられた慧太郎は、アンリの助けを得て、真犯人を追及することにといった展開。とりあえず、こういうガジェット大好きです。巨大生物、魔女、個人用飛行機に秘密結社。タイトルに惹かれて買ったのだが、正解だったな。
 まあ、こういうアクションもので主人公を女子校に突っ込むにはテンポが悪くなるんじゃねとか、アンリさんがまんま某風の谷のお姫様だよなとか、慧太郎が簡単に適応しすぎとか、思うところはあるが。
  「プリュム・ド・シャルール」の「女王」と「御三方」、慧太郎の左目に入った「蟲天の瞳」と「ある得ざるダルタニアン」の呼称、あとマルティナの態度とか、いろいろと伏線がまき散らされているな。楽しみ。三銃士になぞらえるのかね。