伊東京一『BIOME:深緑の魔女』

BIOME―深緑の魔女 (ファミ通文庫)

BIOME―深緑の魔女 (ファミ通文庫)

 腐海の底から古いラノベを召喚しよう、その2。
 密林に覆われた世界で、人々は細々と生活していた。そのような世界で森林保護者(フォレストセイバー)が環境を調整して、人々の生活を守っていた。そのような国の一つパドゥーラは、36年前に現在の領主セネメスによって拓かれた。しかし、短期間の無理な開発は、弊害も強く、近隣の村の人々がすべて死ぬような変動を起こしてしまった。村の唯一の生き残りジジアは復讐のためにパドゥーラを滅ぼそうと企む。主人公の女セイバー、ライカはその中にやってきて、奮闘することになる。
 生物の性質を利用・誘導して、環境をいじくる、さらにはそれで戦うという道具立てが非常におもしろい。虚々実々の駆け引き。もちろん、本当の環境はそんな単純じゃないし、こういう世界で人類が生きていけるのかねとは思うが。
 2001年刊行だから、思ったより新しいな。最近、本が出ていない作者。活躍してほしいのだが。