- 作者: 若松加寿江
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2011/03/19
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 32回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
明治の熊本地震にともなう熊本市街の液状化の状況に興味があったのだが、本書では情報なし。秋津での液状化発生というのが収録されているので、熊本平野では広い範囲で液状化が発生したんじゃないかな。あとは、玉名や八代の干拓地での液状化発生が収録されているが、熊本県内は意外と少ないな。単純に、調査が進んでいないだけだと思うけど。遺跡の発掘で噴砂の跡とかは検出されていないのだろうか。
解説冊子もなかなかおもしろかった。基本的に震度5以上の揺れで発生することや沖積平野などで起きやすいこと、起きやすい地名の話とか。近年の埋立地は、緑ヶ丘とか、それっぽい地名で識別できるとか。
以下、メモ:
著者自身が現地踏査を行った際に、「この場所では、以前も同じ現象が起こった」という住民の証言に幾度か遭遇している。最近の例をあげると、2004年の新潟県中越地震で、住宅に液状化被害が多数発生した新潟県柏崎市橋場町(鯖石川の旧河道)や刈羽村稲場(荒浜砂丘の裾)では、2007年の新潟県中越沖地震でも著しい液状化被害が再び発生した。また、山形県遊佐町江地字出戸(庄内砂丘の裾)では、表1.5に示すように、35年間で4回の液状化が発生しており、住宅等に被害を与えている。釧路市緑ヶ岡5丁目でも、30年間に4回の地震で液状化による住宅等の被害が発生している。緑ヶ岡は、釧路段丘を1960年代-1970年代初頭にかけて切り盛りにより宅地造成した地域で、液状化を生じた場所は沢や谷筋を盛土した箇所であった。p.23
液状化被害が繰り返し発生する場所。一度起きた場所は、危険と。あと、盛土地の脆弱さ。