伊都工平『モノケロスの魔杖は穿つ 4』

モノケロスの魔杖は穿つ4 (MF文庫J)

モノケロスの魔杖は穿つ4 (MF文庫J)

 完結編。
 神殺し。そして、人間の自立。あとがきでは、「親離れ子離れ」と表現されているが、そんな感じ。
 ヒロを失い傷心の麻奈たち。しかし、ヒロは、「水星」によって幽界のミーミルの元に送られ、そこで処置を受けて命を取り留めていた。さらに、多国籍軍によって展開される、竜の解放作戦。
 そこに紛れ込んだ麻奈たち、そして遅れて乱入してきたヒロ、律は、人類の母、すべての根源たる「マグナ・マーテル」と対決することに。親を出し抜いて、しばらく(数十億年)、人間にかまうどころではなくさせるか。しかし、30億年後だと、地上は生物がいなくなってんじゃね。太陽活動の活発化で。
 「勇者参上!」「自分で言った!!」のシーンが良い。
 とにかく、突き抜けていて、楽しい一作。

「その堕罪は食べ物を分かったこと。人は『糧の交換』という禁忌に、いつか必ず気づいてしまう」p.174

 食糧の交換・分配という活動は、類人猿クラスになると、割りと意識的にやっている感じがするが。