わずか五千石、小さな大大名の遣り繰り算段―“名門”喜連川家を中心に学ぶ「武士の生き残り術」 (主婦の友新書)
- 作者: 山下昌也
- 出版社/メーカー: 主婦の友社
- 発売日: 2011/12/07
- メディア: 新書
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5000石の領地で、10万石の格式というと、財政破綻不可避のようだが、実際には領地に引っ込んで江戸に出てこない。幕府の役職につかないというだけで、ずいぶん楽なような。猟官工作に金がかかるし、仕事にかかる費用は自己負担だし、ずっと江戸に居る必要があるし。江戸藩邸の維持費や大名間の交際費なんかの負担がない。毎年の年賀の挨拶は、負担だったと思うけど。
メインの収入源が、宿場の運営とそれからの運上ってのが、おもしろいな。で、上客の伊達藩なんかには、いちいちお出迎え。
藩政改革もおもしろいな。10代熙氏の「共産主義」っぽい、地主排除を目論んだ検地。ついでに家中の風紀を正すために、上士と下士の区別を厳格にしたが、それが逆に出世が見込めない下士層のやる気を奪い、幕末に到る上下対立の火種を撒いた。
あとは、吉良上野介が領地拡大のために尽力してくれて、ほぼ実現しかかっていたが、赤穂浪士の討ち入りで沙汰止みになった話とか。知られざる被害者w
前半は、幕府から小大名のやりくりのお話。国持ち大名の領国だった場所の人間からすると、1万石クラスの大名の所領管理ってどうなっていたのか興味があるな。
あるいは、水戸藩の「悪政」とか。