「安香堯行先生之像」

 戦前、私立時代から官立時代初めまで、校長をやった人の銅像。上の石碑と並んでいる。
 戦時中に、金属供出でいったんなくなって、その後、再建されたらしい。
 銅板に彫ってあると縦線が見えにくくて、碑文がすごく読みにくい。








 台座正面

安香堯行先生之像



 台座裏面上段

嗚呼是れ熊本薬学専門学校長安香先生の肖像也学校は元
山崎に在り唯眇然たる私立にし資財乏しく経営亦甚だ艱
なり先生拮据○勉遂に能く校基を確立し更に又地を今の
処に卜して校舎を新築し且つ其の過程を高めて専門校と
為せり実に明治四十三年なり先生夙に官立移管の念有り
大正十四年志始めて達す先生諱は堯行静岡の人なり資性
渾厚にして熱誠在職二十又六年齢古希を踰えて猶ほ奮励
す故に其の成功此くの如し門人知友嚢に相謀り寿像を校
庭に建つ而して工未だ竣らず今春遂に逝けり然りと雖も
先生の徳先生の業は此の像と世に永く朽ちざる可き也
      昭和三年十月二十七日 龍南教授 高森良人謹記



 台座裏面下段

 胸像再建銘
昭和三年同窓知友によって建立
されたる安香先生の胸像は同十
八年大東亜戦に出征して帰らず
先生縷骨の結晶熊本薬専亦同二
十年七月戦災に累り半ばを失い
たるも幸にして新制熊本大学
学部に昇格し国家及び同窓の義
醵により今や殆んど復旧し最高
学府として宇内に重きをなさん
とす先生の徳と業と今に及びて
愈々光を放つを見る先生以て意
を安んずべきか門人後輩改めて
先生の遺功を称え相倚って胸像
を再建し之を旧台石上に仰ぐに
先生の温容宛として甦り欣喜新
なるものあり茲に再建の事を記
して後世の史料に伝う
 昭和二十七年十二月六日熊大薬学部長藤田穆謹記