今年印象に残った本2016(ラノベ・フィクション部門)

 うーん、最近、ライトノベルを読むときは、大量に積み本を片付ける一方で、読まないときは何ヶ月も読まないみたいなパターンが多くなってきた。
 あと、熊本地震の結果、何もかもひっくり返って、本棚の肥やしになっていた本が上層部に出現。おかげで、古いラノベの読み返し大会となった。手持ちの田中芳樹の本を読み返したり。
 今年は久しぶりに、どれを選ぶか迷うな。

  • 10位 阿羅本景『碓氷と彼女とロクサンの。』

碓氷と彼女とロクサンの。 (ファミ通文庫)

碓氷と彼女とロクサンの。 (ファミ通文庫)

 碓氷峠の鉄道を観光鉄道として復活させようとする部活で機関士をはる少女とそれに引かれた少年のボーイ・ミーツ・ガール。
 豪雨で孤立した熊ノ平に救援列車をだすところは、現実には二次災害の危険度が高すぎるけど、物語の盛り上がりとしては分かりやすかったな。

  • 9位 嵩夜あや『彼女とカノジョの事情:憧れの乙女は男の子!?』

 嵩夜さん、美少女文庫で書くようになったけど、今後も、女装ネタしか企画が通らないのだろうか。
 先生との情事を目撃された主人公が、口止めに手を出したら、ヒロイン陣が官能にはまっていく話。SMっぽいプレイに喜々としてはまっていく女の子たちがいいですね。

 前巻でアザトースの御許に行ってしまったさやかちゃんの救出ミッション。1920年代そのままのアーカムを探索する。鉄砲撃ったり、現代日本ではできない派手な展開に。
 とりあえず、さやかちゃんは戻ってきたけど、ショゴス細胞でできているとか、辰巳先生の腕もショゴス細胞で戻すとか、探索者がだんだん人間じゃなくなっていっている感が…

 とりあえず、跳躍力にスキルを振った、ぴょんぴょん跳ねる格闘巫女さんなヒロインが良いですね。黒髪ロングで、楚々とした風情で勘が鋭い。
 スピンオフということで、一巻しか読んでいない私には分からないところが多いけど、手堅いストーリー運びだったと思う。

 謎の存在「ザイ」の侵略に晒されている人類社会。ザイに対抗できるのは、ザイの因子を利用した「アニマ」を搭載した戦闘機のみ。その一機、不調だったグリペンとシンクロし、戦力化できる主人公は、ザイとの戦いに巻き込まれていく。
 ポンコツ戦闘機少女のグリペンがかわいいんだよな。
 とりあえず、5巻まで読了。

エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ (MF文庫J)

エイルン・ラストコード ~架空世界より戦場へ~ (MF文庫J)

 ロボットがたくさん出てきて嬉しい。リアル寄りから、スパロボまで。あと、主人公が熱い。
 「マリス」とよばれる人間を捕食する存在の前に、人類は苦戦を強いられていた。そこに現れる、アニメの登場人物とメカそっくりの存在。「彼」は存在を否定され、苦悩しながら、守るべき者を見出す。

 久しぶりに読み返し。やっぱりおもしろい。今年は、本棚の底から出てきた田中芳樹本を何冊か読んだけど、これが一番まとまっている。だいたいにおいて、田中芳樹の作品は締め時を逃してグダグダになっている例が多いような。

  • 3位 湖山真『聖剣と魔杖の多重継承』

聖剣と魔杖の多重継承 (一迅社文庫)

聖剣と魔杖の多重継承 (一迅社文庫)

 割と雰囲気が好きな作品。
 多数のデミヒューマン種族と人類至上主義宗教集団南十字教団が争う世界。南十字教団の元「勇者」であった主人公は、人間の村を破壊する命令に反して投獄されていたが、そこが襲撃され、脱獄することに。しかし、襲撃をかけてきたセイレーン族のセリアと魔法の鎖がつながって、離れなれなく。手錠でつながれて、逃避行ってのは、良くあるネタだが、ファンタジー世界でやるのが新鮮。

  • 2位 横塚司『ぼくは異世界で付与魔法と召喚魔法を天秤にかける』

僕は異世界で付与魔法と召喚魔法を天秤にかける(3) (モンスター文庫)

僕は異世界で付与魔法と召喚魔法を天秤にかける(3) (モンスター文庫)

 これも瀬尾つかさ作品。別名義カミングアウトで知って、一気読み。ある程度まとまったシリーズを一気読みするのも楽しいもの。
 突然学校が異世界に飛ばされて、オークの軍団の殺戮の巷となるホットスタート。徐々に力をつけ、世界の謎に挑んでいく。異質な知性との接触って、瀬尾つかさ好みのギミックだよなあと。

 まあ、文句なしにこれかな。
 2012年から3年越しのシリーズ完結。2015年の夏に出ていた本なのだが、読んだのが今年に入ってからなので。作者最長シリーズの完結編。
 人工知能と「知性」の衝突による多元的世界の形成。それぞれが争い始めた多くの世界の中で、「スカイ・ワールド」を守るべく、どのように住民を強くするかの路線対決が、アリスとカリムの争いだったと。
 ジュンがカリムを倒し、「楽しみながら」強さを目指す路線が確定と。やはり、終わりなき冒険の世界って、いいよなあ。ナルニア然り。