瀬尾つかさ『サイバーアーツ01:真紅の虚獣』

 脳にナノマシンを共生させ、それによってバーチャルなネット空間に常時接続できるようになった未来のお話。多くの人がARに頼って生活している。
 そんな中、極端に影が薄い主人公樫尾ナジムは、高嶺レンとぶつかったことから、自分の異常性、そして、兄ユキヤがいろいろと仕掛けていたことを知る。これ、「真の敵」はなんなんだろうなあ。「ゼノ」の向こう側は。
 なんか、主人公ペアがすごいなあ。兄によってナノマシンをいじられまくった主人公。感情まで制御されている。ヒロインのほうは、反射的にクラッキングしかける凄腕ハッカー。行動原理が好奇心とスリルに突き動かされる刹那的というか、破滅的な性格が。それでも、美人なら許せる。
 主人公の「11歳年上の兄」が本当に兄なのだろうか。
 瀬尾つかさ作品では、久しぶりに、ガジェットがSF、SFしたお話ですな。しかし、五感や感情まで、外から制御できてしまう世界はゾッとしないな…