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白亜紀の生物 上巻 (生物ミステリー(生物ミステリー プロ))
- 作者: 土屋健,群馬県立自然史博物館
- 出版社/メーカー: 技術評論社
- 発売日: 2015/08/18
- メディア: 単行本
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構成はこんな感じ。
最初は中国東北部に分布する熱河層群から産出する化石。火山噴火による熱雲によって、一気に化石化した、保存状態の良い化石が多産する。骨以外の部分も保存され、羽毛恐竜の羽毛が大量に産出している。まさに、羽毛恐竜の研究に不可欠な土地と。
小型の獣脚類だけではなく、ユティランヌスやディロングのような大型の恐竜にも、羽毛が生えていた。あるいは、全長80センチで小型恐竜を食べていた哺乳類、胎生のトカゲ、現生哺乳類につながる哺乳類などなど。植物の化石の保存状態も良好で、被子植物の出現が跡付けられると。
第2章はモンゴル。ゴビ砂漠の広い範囲から、恐竜の化石が産出し、アジアの恐竜研究を牽引していると。鎧竜サイカニア、卵泥棒は誤解で自分の卵を温めていたオヴィラプトル、肉食動物の頂点に位置する「アジアの恐竜王」タルボサウルス、腕だけ恐竜から変な恐竜にジョブチェンジしたデイノケイルス、爪の長い草食獣脚類テリジノサウルスなど。
第3章は、当時テチス海のど真ん中だったレバノンから発掘される化石。魚類いろいろ。おもしろい形をしたお魚さんもいたようだ。あと、タコの化石。ほとんど軟体部だけの生き物の全身がよく保存されたものだ。
第4章はアンモナイトを中心とする海生無脊椎動物たち。北海道が世界的な産地なのだそうで。異常巻きアンモナイトが普通に繁栄していたことを考えると、アンモナイトって能動的な生き物というより、浮遊しながら、近づいてきたものを食べていたのかね。巻きの変化と進化の話や、アンモナイトの殻に張り付いた寄生生物とか。かなり深海に住んでいたという研究成果も興味深い。
他に、イカに似た生き物ベレムナイトや嘴部分だけ見つかった巨大イカ・タコ、サンゴを圧倒した厚歯二枚貝、深海で水生爬虫類の骨を分解していた生物など。ベレムナイトが白亜紀の環境を知る手がかりになるのか。なんか、大型水生爬虫類はベレムナイトに頼っていたようだけど、あの殻の大きさは、消化に悪そうだなと。
第5章は日本産の恐竜や大型爬虫類の紹介。福島県から発見された首長竜フタバスズキリュウ、北陸の手取層群から産出するフクイラプトルやフクイサウルス。兵庫県の篠山層群から発見された丹波竜。北海道むかわ町で発見された恐竜など。ある程度まとまった骨格が、複数出てくるとか、90年代には思いもしなかったな。熊本からも、恐竜が出ているが、どうしても、歯とか、骨一個なんだよな。
あとは、北陸産のトカゲ類、カガナイアスとか、クワジマーラの紹介も。
最後の6章は、翼竜、最後の魚竜、首長竜、モササウルス、ワニの仲間、最初の蛇、両生類など。