御船町恐竜博物館特別展「生命のれきし:君につながるものがたり」

 梅雨明けを待っていたら、会期が終わってしまいそうなので、梅雨の止み間に強行出撃した展覧会。国立科学博物館の所蔵品を使って、生命の歴史を再構成する。
 当然と言えば当然なのだが、バージェス頁岩の化石や始祖鳥あたりの有名な化石は、だいたいレプリカ。特に凄くなくていいから、バージェス頁岩の本物の化石も見てみたいところ。古い標本を調べ直して大発見とか、ざらにある世界だから、そう簡単に本物を譲渡とはいかないのだろうけど。


 最初は生命の始まりの時代。シアノバクテリアが出現して、急速に地球環境が酸化していく。その証拠である縞状鉄鉱層やストロマトライト、地球の内部が高温だったことを示すコマチアイトなどの標本が展示。オーストラリアとか、グリーンランドは、古い地殻なんだな。




 続いては、多細胞生物の出現から発展。エディアカラ動物群からバージェス動物群、そして、古生代三葉虫、腕足類、棘皮動物アンモナイトの仲間などが出現する。三葉虫や腕足類は広く出土して、商業流通もしているけど、バージェス動物群は、簡単に入手できるものではないようだ。
 エディアカラ動物群の化石、軟体部の印象化石から、往時の姿を復元するのは、なかなかに難しそう。あと、アノマロカリスの化石レプリカが見事。全身残ってるんだね。意外と小さい感じもあるが、そういう個体が化石化したのかな。そもそも、他の生物はもっとちっちゃいしな。この化石をクリーニングするのは大変そうだ。
 6番目右のアグノスタスも興味深い。海水中を浮遊して生きていた三葉虫っぽい豆粒生物。











 続いては、脊椎動物、魚類の誕生。古生代の魚って、およそ活動的に動くとはほど遠い雰囲気だなあ。いや、サメがいるんだっけ。軟骨魚で骨格が残りにくいという難点があるという。
 ダンクレオステウスの頭骨がでかい。しかも、胴体は軟骨か。こいつ、何食っていきていたんだろうなあ。クラゲみたいな浮遊性の生き物をガブッとやってたのかねえ。








 第三部は、植物の上陸。最初はシダ植物がでっかい木になって繁栄。その後、裸子植物被子植物と展開していく。
 中生代になると、御船層群や八代層から、割とまとまった形で植物化石が見つかるのだな。









 陸上脊椎動物、特に恐竜などの陸上爬虫類。この展示のメインがここ。恐竜の全身骨格模型が複数。メソサウルス、ヨコクビカメ、プテロダクティルスなどに続いて、全身骨格と頭骨のレプリカが。





 アラシャサウルス。内モンゴルで発見されたテリジノサウルス類の恐竜。植物食らしい。





 デイノニクス。モフモフ恐竜。しかし、狩りをするときに何度も蹴るというのは、リスクの大きな行動のような。むしろ、同種と戦うときのためのモノだったり。





 ニッポノサウルウス。今回の展示の主役はこいつかもしれん。
 戦前に、カラフトの炭鉱で発見されたハドロサウルス類の恐竜。まだ、若い個体だったそうで。頭部の装飾は、この後育ったかも知れないのか。見つかったのは全身の40%だそうだけど、この復元骨格、どこまで正確なんだろうか。
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 カスモサウルス。角竜はやっぱ大事だよね。





 ティラノサウルスの頭骨、ナヌークサウルスの頭骨、コンコラプトル、ディプロドクスの頭骨、モンタノケラトプス。ティラノサウルスの頭のでかさは別格だなあ。逆に、ディプロドクスの頭ちっさ。







 その後は中生代の海。モササウルスの頭骨。モササウルス類の復元図、イルカっぽいシルエットに変わったけど、初期の種に関してはヒレつきトカゲのシルエット変らないのだな。
 後は、熊本県産を中心としたアンモナイト、イノセラムス、トリゴニアなど。どれも、結構広い範囲に住んでいたんだな。上天草市で発見されたアンモナイトの吻器が興味深い。








 そして、最後は現代に続く哺乳類の発展。ペルム紀から三畳紀に栄えたゴンドワナ大陸の単弓類、日本で発見された中生代哺乳類の歯ないし顎化石の拡大模型、新生代に入って太平洋の独自種束柱類、小型哺乳類アロプトックス、宇土で見つかったヒゴテリウム、そして、第四期の動植物で現代につながる。














 御船からは中生代の哺乳類が二種類、ソルレステスとデルタテリディウム類の二点が出土。下顎が出土しているササヤマミロスに比べるとインパクトでは負けている感があるがw





 天草で出土したコリフォドン類の化石も興味深い。ただ、どこまでが骨か、ちょっとわかりにくい。これが本物の醍醐味とも言えるが。



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www.palaeoshop-fossil.com
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