『世界の艦船』2017/1号

世界の艦船 2017年 01 月号 [雑誌]

世界の艦船 2017年 01 月号 [雑誌]

 海自の護衛艦特集。写真ページでは、現用の護衛艦の紹介と歴代護衛艦の紹介。さらに、文章ページでは、護衛艦の整備や技術のお話。
 あきづき型とか、あさひ型のような、艦橋の上にフェイズドアレイレーダーの平面アンテナが設置されているタイプの船、フランケンシュタインってイメージだな。DDHのリプレイスも含めて、だいぶ、メンツが変わってきた感が。
 護衛艦の経年変化もおもしろい。1960年代あたりだと、武装のせいで、アメリカの艦隊型駆逐艦にしか見えない艦がメイン。魚雷発射管がついていたりする。これが、1970年代になると、主砲がMk.42やOTOメララになって、アスロックが標準化して、グッと戦後風に。1980年代になると、スパロー、ハープーン、アスロック、ファランクスと揃って、現在に繋がる感じ。90年代にはVLS装備といった感じに変わってくる。1950年代から60年代の艦が残っていた、1990年初等あたりの護衛艦のラインナップって、かなりカオスだったんじゃなかろうか。一方でイージス艦は出てくるし。


 本文記事は、香田洋二「海自護衛艦部隊の現況と将来」、編集部「国産護衛艦の技術発達史」、内嶋修「新型DD『あさひ』の特徴と能力」、徳丸伸一「どうなる?3000トン型将来護衛艦」、岡部いさく護衛艦の将来装備」、勝股秀通「ノドン 日本領海に着弾!」の六編。
 最初の香田記事が、いろいろな意味で興味深い。というか、不平満々だな。90年代から2000年代に増強した大型艦の老朽化。それを、一対一でリプレイスできず、護衛艦の老朽化が急速に進む。30年度将来護衛艦は、戦闘能力が不足しているのではないか。BMDにイージス艦が取られて、「本来任務」である海上交通保護が疎かになるのではないかなどなど。20年後の中国海軍はJR北海道と同じ轍を踏むのか? - Togetterまとめと言うまとめがあったけど、中国海軍がそうなる前に、海上自衛隊JR北海道化しつつあると。
 ただ、この記事、結局はセクショナリズムのような。日本の国力では、いつまでも、拡大再生産するのは非現実的なわけで、良くて現状維持の状況で、どういう選択肢をとりうるのかを提案するのが、専門家の仕事なのではなかろうか。あと、BMDにイージス艦を取られるのが不満のようだけど、直接本土を攻撃される事態は、それこそ国家の存立に関わることで、それに無策では存在意義そのものが問われると思うが。


 徳丸記事は、その30DDについて。は対機雷戦兼務が予定されているけど、これに関しては、どの記事を読んでも不安が表明されているな。LCSが失敗して、デンマークもスタンフレックスを固定化しているあたり、要員の訓練に無理があるのだろうなあ。その、スタンフレックス的なものを導入して、拡張性を確保する予定らしいと。アメリカも、スタンフレックスを導入しているのだな。
 しかし、やはり30DDの個艦防空能力は不安だよなあ。


 あとは、特設巡洋艦「報国丸」の迷彩が、第一次世界大戦アメリカ商船そのままであるという話。あるいは、自衛隊がライフサイクルコスト重視の取得戦略を導入という話など。ライフサイクル重視はいいけど、見積もるのが難しそうだなあ。
 連載「現代の潜水艦」は、ソナーの話続き。曳航式ソナーは低周波を受信できるが、方向が分からない。あるいは、小型の逆探知アレイの話。アクティブ・ソナーの問題、水中電話など。このあたり、良く分からない。


 写真記事では、海上災害防止センターの油防除実習に登場した訓練船ホエールがちょっとおもしろい形。あとは、「世界の客船」のキャンベラが美しい。