三雲岳斗『アスラクライン7:凍えて眠れ』

アスラクライン〈7〉凍えて眠れ (電撃文庫)

アスラクライン〈7〉凍えて眠れ (電撃文庫)

 一気に、話がシリアスに。アスラ・マキーナを使うというのは、どういうことかが明らかにされる。アスラ・マキーナの力の源は、生贄として封じ込まれたベリアル・ドールの魂。愛する者の少女の魂を使い尽くして、悪魔の力を行使する結末が、佐伯玲士郎と哀音の姿を通して描かれる。
 同時に、嵩月奏も、契約相手を持たない状況で、限界まで力を使った結果、生命力にダメージが入る。こっから先、クライマックス近くまで、病弱キャラ化。
 いや、今回、キツいっすね。


 今回は、佐伯玲子ヒロイン回。ツンデレキャラで、かわいいっちゃ、かわいいんだけど、彼女がからむと話が進まないなあ。智春が、好意に全く気付いていなくて、コミュニケーション・コストがかかりまくっている感じが。


 鳳島蹴策による洛芦和学園の襲撃とそれを囮にした生徒会室への侵入。佐伯兄妹の負傷。さらには、第一生徒会が攻守同盟を結ぶ明蓮寺高校が、アスラクライン加賀篝隆也の襲撃を受ける。謎のプラグイン「イグナイター」を狙った襲撃で、それは、洛芦和学園預かりになる。
 強力な敵の襲撃が予測されるなか、洛芦和学園の二年生は修学旅行。イグナイターは智春に押し付けられ、警戒態勢のなか、日々が続く。
 しかし、加賀篝は、修学旅行生の帰国の飛行機を襲撃。アスラ・マキーナ、薔薇輝の時間停止能力によって、航空機を捕獲。イグナイターを引き渡す交渉を仕掛けてくる。最終的に、交渉は決裂、戦闘の末、加賀篝は負傷するが、旅客機は墜落、乗客を救うために、智春と玲士郎は、アスラ・マキーナの限界まで力を使う。そして、哀音の消滅。


 全体の半分で、やっと、本題に近づいてくるのだから、ずいぶん、ゆっくりとした物語の運びだなあ。