三雲岳斗『アスラクライン』

アスラクライン (電撃文庫)

アスラクライン (電撃文庫)

 主人公、「幽霊憑き」の少年、夏目智春は、高校入学を機に一人暮らしを始めた。各地を放浪している兄が借りた古びた洋館鳴桜邸での新生活は、引越し当日の夜、美人が謎のトランクを持ってきたところから、平穏とは程遠い状況に陥っていく。
 全体的に、主人公智春が、わけのわからない状況で右往左往するお話。智春と同時に、読者も情報が規制されて、読んでいてストレスが溜まる感じ。一応、最後まで読んでしまっている人間としては、ここまで情報が出てくるのが遅いかというか、ガッチリ引っ張ってるなあというか。


 嵩月奏、最初から、智春に好意全開なんだな。ほとんど、人付き合いに免役のない娘が、ほとんど初対面で男らしく守ってもらった、落ちるかもなあ。
 最初に読んだ時は、奏が一番お気に入りだったが、今読み返すと操緒の楽天的感性もいいなあ、と思った。


 3年前の航空機事故で、知らない間に黒科学による戦闘ロボット「アスラ・マキーナ」のハンドラーにされて、操緒は、その生贄。潜在的対立関係にある「悪魔」の結社に襲撃を喰らったり。第一生徒会に襲撃されたり。奏を殺すように強要されたり。最終的には、科学部に入部、第三生徒会の庇護下に入ることに。
 こっから、何かとこき使われる下っ端ハンドラーの哀歌が始まる。