まつりか『「ロマンス潰し」の女公爵は第二王子の執着愛に気付かない』

 ムーンライトノベルズに掲載されたWeb版に相当な加筆を加えたお話。第2章は完全に加筆で、婚約者を奪ったマリーリカの感じがさらに悪くなっていたり。
 とりあえず、「ロマンス潰しの女公爵」ことヒロイン、コーネリアさんがいいなあ。例外的な女性の次期公爵ということで、立場を忘れずに凛としている。さらに、困っている女性を助けるべく飛び込んでくる正義感。一方で、プライベートモードでは、ちょっと抜けていて、エロありのロマンス小説が大好きというギャップが。
 冒頭の冤罪での婚約破棄をしようとしているカップルを撃破するところがいい。


 純粋な気質のヒロインが、陰謀に強い粘着質な愛が重い男に捕まるお話。しかも、その男が王子と情報屋の二重生活をしている人物で。情報屋としては気安く、王子としては粘着質に。
 初夜の「ゆっくり丁寧に」か、「本能のまま激しく」で迷っちゃうコーネリアさん。


 元婚約者を落としたマリーリカ、どういうつもりで行動しているのかと思ったら、手切れ金目当てだったのか。結婚直前だけに、外聞をはばかって、元婚約者とマリーリカを別れさせると思ってた。しかし、コーネリアの思い切りが思った以上によかった、と。
 で、なんどか絡んできて、復縁させようと目論んでいたわけか。とはいえ、人が多いところで絡んだのは悪手だったわな。
 で、お金をゲットできようが、できまいが、予定通りに貴族籍から外れて、商家に嫁入り。しかし、コーネリアとウィリアムの敵意はしっかり買っていて、これから報復される、と。


 序盤の第1章で、婚約破棄劇をぶっ叩く「ロマンス潰し」から、自身の婚約破棄、そして、情報屋のウィルに連れられてお忍びでやけ酒。そこで、第二王子のできにくい呪いのお話とか。だいたい、目を引くトピックが使われているのがちょっとバランス悪いかなあ。