悠十『乙女ゲームは終了しました 1』

 乙女ゲーム世界に迷い込んだ北○の拳世界の住人w
 異世界に転生して、前世の記憶を思い出したアレッタ。しかし、そこが乙女ゲームの世界で、自分がモブであるということに、断罪イベントが起るまで気づかなかった。なぜなら、彼女の出身、ベルクハイツ子爵家は深魔の森から国を守るめちゃくちゃコワモテな家で、そっちが標準と思っていたからというw


 乙女ゲームは、王太子の婚約破棄に対し、悪役令嬢がざまぁ返しで勝利するが、王太子の国外追放の妄言についていくと申し出た騎士が重要な一族の跡取り娘の婚約者であったことがケチのつき始めで。乙女ゲームが終わった後のすったもんだのお話。
 スタンピードが頻発する「深魔の森」を押さえるベルクハイツ子爵家、一族を始め、その地の住人は劇画キャラ。子爵家当主は世紀末覇王的な威圧感満載の外見。しかし、ベルクハイツ一族初めての娘にして、その血を色濃く継ぎ時代の当主たるアレッタは普通の外見で「初見殺し」とか言われているギャップが楽しい。


 婚約破棄の後始末にベルクハイツの当主が王都に出張ってきて、その威圧感に右往左往する関係者。ベルクハイツの醸し出す威圧感にビビりまくる人々。さらには、王都近郊に潜んでいたドラゴンを調教してお持ち帰りとか。戦闘力がヤバすぎる。
 一方、戦闘能力に特化したベルクハイツの伴侶は、だいたい「悪魔」と呼ばれる頭脳派。そもそも、モンスターがあふれる環境のベルクハイツ領では、互いに想い合い支え合う関係でなければ維持できない。代々、ベタ惚れの伴侶がベルクハイツの足元を固め、ちょっかいを出そうとする外野を叩き潰してきた。圧倒的な武力というカードが常に牽制するんだから、いろいろ強いわなあ。


 同時に、ヒロインアレッタと、もともとの婚約者候補で、一旦、引き離されてしまったフリオの恋愛も進行。そもそも、訓練をともにして、髪を乾かしたりとスキンシップを続けている時点で、完全にあれだよなあ。で、友人に指摘されてもだえるアレッタがかわいい。
 一方、フリオは「ベルクハイツの悪魔」の後継候補として、アレッタを取り返すべく暗躍していたという。実際に効果を現す前に、関係者が自爆しまくったわけだが。
 つーか、元婚約者たるルイスは、結局、フリオの覚醒を促すための当て馬だったわけね。


 結局、乙女ゲーム主要人物は、ヒロインは途中で正気に戻って貴族をやめる、王子、騎士団長の息子、魔術師団長の息子は、元婚約者とともにベルクハイツ領にお持ち帰り、劇画戦士化。大商会の息子は放り出した後、自活。ヒロインと再び出会って、結婚。
 その後が描かれていないのは宰相の息子シルヴァン・サニエリクのみか。3巻まで読んでるけど、他が更生の兆しを見せている一方で、全然でてこないため、婚約者の家のメイドに手を出していたとか、マイナスの情報が増える一方。戦闘要員はともかくとして、アホになった頭脳担当とか、本当に存在意義がないよなあ…




 後半は、悪役令嬢のお話とヒロインのその後。王子ルートの悪役令嬢と宰相子息ルートの悪役令嬢。
 一つ目は、王子ルートの悪役令嬢で、王子に対してざまぁ返しをするもベルクハイツの婚約者に手を出してしまって失脚してしまった悪役令嬢のお話。つーか、この時点で、前世の記憶持ちがヒロイン、悪役令嬢、モブのアレッタと三人もいるのか。前世の記憶をもっていて、それによって優秀評価を受け、かつ、王子がどう行動するか読めていて対処もできていた悪役令嬢。しかし、思い人たるルイスの婚約関係を一度調べたきり、フリーだから大丈夫と思い込んだ隙が、大惨事に。


 2番目は、アレッタの親しい先輩マデリーンのお話。ひびが入った王国中央とベルクハイツの関係を改善するために、マデリーンが、アレッタの兄グレゴリーと婚約することに。山よりも高いプライドと外面を持つマデリーンが、グレゴリーの直球の口説きに動揺しまくるお話。
 なんというか、淑女の仮面を無意識でかぶれる令嬢が内心お祭りしている感じ。ある意味、アレッタとフリオよりも恋愛ものをしている感じかなあ。初々しい感じが強い。


 最後は、「ヒロイン」のその後。マデリーンの怒りの指摘を受けて、現状が不味いと気づいたヒロイン。しかし、攻略対象に囲いこまれて脱出できず。自ら修道院へ行きたいと言い出すまでに追い詰められる。それを見た父親が爵位を放棄して、冒険者ギルドで親娘で働き出す。そこで、実家の商会から追放された商会の子息が出会って、何年後かにプロポーズから結婚となるお話。冒険者ギルドに預けていたお金は手元で確保できて、それで冒険者から小商人へと自活する商会の息子は割ときっちり更生した感じだなあ。
 プロポーズシーンが微笑ましいw