黒猫かりん『訳あり伯爵様と契約結婚したら、義娘の契約母になってしまいました。:契約期間はたったの一年間 1』

 とりあえず、銀色スナイパーことりーディアちゃんがかわいらしい。トラブルメイカーなんだけど、マリアさん大好き故の行動なのが明確で不快感を覚えないというか。
 あとは、リキュール伯爵家の血族に好かれすぎのマリアさん。連携して、恋愛ネタでいじられるのが楽しい。


 聖女の血を引く、国内随一の治癒魔術の使い手を輩出するリキュール伯爵家。しかし、事故や戦死で数を減らして、現在は当主と娘のみ。しかも、妻に逃げられて、現在独身。リキュール伯爵家の血筋が途絶えることを懸念した王家は、どうしても後妻を娶らせようと次々とハニートラップをけしかける。次々と押しかける女性に病んだリキュール家の当主リカルドは、隣のマティーニ男爵領で密かに静養することに。
 そこで、ちゃきちゃきと畑仕事をしまくる男爵家の娘マリアと出会ったリカルドは、女避けの偽装結婚を男爵から持ちかけられ、承諾する。
 どちらも、偽装とは言え結婚を承諾した時点で、互いに憎からず思っているんだよなあ。


 結婚の初夜、偽装結婚ということで互いに別室で寝るところからスタート。
 つーか、リーディアちゃんの懐きっぷりがホントすごい。そして、「契約結婚」といいつつ、なんとなく距離を詰めようとするリカルド。最終的に、父娘が結託して、「落とされる」マリアさん。つーか、リカルドも、マリアも、恋愛ごとに防御力なさ過ぎで微笑ましい。相思相愛なのに、互いに防御力がなさ過ぎて話が進まない。
 本編は全体の6割くらいか。まあ、最初から相思相愛だけに、割と治まるところに治まる。


 続いては番外編。リーディアの「初恋」が誰かから始まって、マリアやリカルドの初恋は誰かと被害が広がるお話。マリアの初恋はリーディアって。三人ラブラブで微笑ましい。


 第2章は、リカルドの祖母、リーディアの曾祖母にあたるルビエール前辺境伯夫人ルシアの襲来。ちょうど、落葉を集めて焼き芋会をやろうとしているところに当たってしまって、リーディアの機嫌を損ねるわ、それにショックを受けてルシアが倒れるわ。
 ルシアの暴走ぶりと、それに突っ込みを入れる侍女のやり取りが楽しい。
 そして、マリアが語る焼き芋と飲み物のマリアージュに、食欲を刺激されてしまうおばあさま。