白鳥うしお『元、落ちこぼれ公爵令嬢です。 3』

 パフィート国からノストン国に舞台が移る、展開の巻。
 前巻から引き続いての、ヴィークの婚約者選びの夜会。招待客の同伴者という立場ながら、立ち居振る舞いとイザベラがオーダーしたドレスで、衆目をさらうクレア。後ろ盾のないクレアは身を引こうとするが、最終的にヴィークの熱意に押されて婚約を受け入れる。それにともなって、王宮に居を移すことになる。家出令嬢の大出世。


 しかし、竜巻浄化から王妃候補と目立ったクレアは、リンデル国を滅ぼしたミード伯爵家に目を付けられることになる。王家傍流が反逆を企てて落とされたミード家。とはいえ、リンデル国の事変の時には、調査対象から外されるなど隠然とした力を持つ家。
 その息子が夜会で接触してきて、さらには王立学校にいきなり転入してくる。警戒を強めるヴィークたち。単純にリンデル国滅亡に絡んでいるだけではなく、「魔力の共有」という独自の能力を持つのが厄介で。とはいえ、クレアの現在の力では、むしろ仕掛けてくると吹っ飛ばしてしまう力の差がある。転入してきたミード家の長男ディオンは、拙速に仕掛けてきて自滅…


 そして、王太子ヴィークによるノストン国公式訪問。ノストン国の王太子アルベルトやクレアの実家マルティー公爵家に、ヴィークの婚約者がクレアであることを知らせる。


 一方、クレアからその座を奪ったシャーロットは、その後、徐々にうまくいかなくなって。というか、魅了で周囲を操って、クレアの地位を落としていっていたのね。
 パフィート国からの訪問団を迎える準備でバタバタしている王宮を空気を読まずに訪れ、婚約者のはずのアルベルトにうんざりされたり。伯母のアンとの晩餐会で魅了を破られて父や兄からたしなめられたり。
 しかし、懲りずに、今度はヴィークを落とそうと企む。
 まったくもっての、ヒドインだなあ。