狭山ひびき『幽閉令嬢の気ままな異世界生活:転生ライフを楽しんでいるので、邪魔しに来ないでくれませんか、元婚約者様?』

 断罪エンドを避けられず、結局卒業式のプロムで婚約破棄されてしまった主人公。しかし、実際、「ヒロイン」をいじめてなどいない。最終的に冤罪であることが確定するが、一度王族が発言したことは取り消せないと、遠隔地の離宮になんちゃって幽閉されることになる。
 で、配所で悠々自適生活かと思いきや、最寄りの町の代官が不正していて住民が飢えていたり、幼馴染みの公爵令息が移住してきたり、お飾りの正妃にするために王子がよりを戻しに来て追い返されたり。


 「ヒロイン」の浅はかさがすごいな。王子の婚約者へ冤罪をかけて論破されて、王妃教育はヤダヤダで周りから呆れられて、最後はアドリアーナを襲撃させて、炭鉱送り。徹頭徹尾乙女ゲームの主人公気取りだった…


 そして、言いがかりで住民を見せしめ処刑しようとする悪徳代官をとっ捕まえて、主人公は代官代行から、周辺地域を治める辺境伯に叙されて、思い人と結婚してめでたしめでたし。


  婚約破棄王子が改心するのは珍しいなあ。一応、善人ではあるわけか。だからこそ、「弱者」に過剰に肩入れして、バランスがとれなかった。改心して、自分の高慢さを自覚した後も、頼りない感は変わらないようなw


 あと、領地振興の策として学校設立というの、割とこの手の異世界恋愛系の作品に共通するアイデアだなあ。識字教育への信頼感が興味深い。