柏てん『婚約破棄の十八年後:不遇の娘は冷血公爵の心を溶かす』

 結局、王妃様はなにがしたかったのだろうか。そして、「青の貴婦人」はどんな意味があったのか。王妃様が意識不明になって、全部ブラックボックスに。
 ウェブ連載では、第4章までで、伯母一家ざまぁまで。後半の因縁決着編は書き下ろしなのか。


 父親が「真実の愛」を見つけて公爵令嬢を婚約破棄して、家は没落、伯母は無茶なお見合いをあちこちに持ちかけて評判最悪、従兄弟には虐待をうける主人公アビゲイル。ある日、自分の名を騙って、因縁のアスガル公爵家に手紙を出して、呼び出されることに。
 そこで、現在の当主、父の元婚約者の弟と対面して、何が気に入られたのか「婚約者」として手厚い保護を受けることになる。
 傷つけられすぎて、もはや全てを受け入れる心境のアビゲイルさんが痛々しい。なにも期待しないというか。
 むしろ、優しくされて、後から捨てられるのが怖いというのは、そうだよなあ。


 かつて、アスガル公爵が国王暗殺を試み、それをスタンフォード伯爵が阻止して、助けたことから、両家の婚姻が企画された。しかし、スタンフォード伯爵令息が公衆の面前で婚約破棄をした結果、アスガル公爵家に排斥されて没落寸前になった。しかし、実は、現王妃、当時は婚約破棄された公爵令嬢が、そのように誘導したと聞かされた、現公爵は、アビゲイルとの婚約を明らかにして、王妃イライザの反応をさそうことにする。
 ちょこちょこ嫌がらせを受けた後、アビゲイルと公爵の婚約の許しを請う謁見の場で、王妃が悪魔としての本性を露わにして、「青の貴婦人」を奪おうとして、アビゲイルが聖女の力を発揮。王妃は意識不明のままに。
 なかなかの急展開だったな。


 アビゲイルを虐げた伯母一家もざまぁされて、アビゲイルは桎梏から解放される、と。