内山靖二郎『クトゥルフ神話TRPGリプレイ:るるいえはいすくーる』

 るるいえシリーズ二冊目。前回、退場した京にかわり、女子高生探索者が増量。学園を舞台とした宇宙的事件を追う展開。
 「クトゥルフの寵愛を受けし者」の「標本」がよみがえろうとしたり、心のケアで行った林間学校でショゴス細胞が増殖しまくるB級ホラー風味の話、前巻で正気度がゼロになった京が正気度を回復するエピソードの三本立て。
 プレイヤーキャラクターの友達ってのは、プレイヤーを事件に巻き込む絶好の手段だけど、本書以降、千香はさんざんまきこまれまくっているな。
 あと、二本目のシナリオの「ショゴス抑制剤」の蛍光グリーンというのが、笑える。

内山靖二郎『クトゥルフ神話TRPGリプレイ:るるいえばけーしょん』

 一巻「るるいえあんてぃーく」の第二シナリオで、アトラク=ナチャと縁ができてしまった探索者たちは、「死の木の契約」をめぐる生と死の狭間の冒険に引き込まれていく。アトラク=ナチャに喰われず、ダゴン密教団に引き込まれることも避けるべく、ドリームランドを冒険し、グアムで大アクションを展開。
 三本連続キャンペーンだと、いろいろと情報を盛り込めて、派手になるな。
 しかし、こういう謎かけって、プレイしている最中にはなかなか、思いつかないような気がする。

内山靖二郎/アーカム・メンバーズ『クトゥルフ神話TRPGリプレイ:るるいえばーすでい』

 「誕生」をキーワードとするシナリオ三本立て。
 ヒロイン格さやかちゃんのサプライズ・パーティ準備中に、また友達の千香が事件に巻き込まれ、奔走することに。学園の生徒を奴隷化して精気を吸おうとしていたロイガーと対決する一話目。
 昭和初年、るるいえ堂開店時のエピソード。新興宗教のチャウグナー・フォーンをよみがえらせようという試みを、私立探偵さやか以下の面々が挫く。
 三話目は、現在に戻って。正気度ゼロ時代の京が入手していたアフォーゴモンの鏡をめぐる騒動。京の生まれ変わり。
 第二話の、チャウグナー・フォーンを前にして、みんな狂気に陥って混乱するのが。なんともはやといった展開。
 さやかちゃんが、「屍食教典儀」を研究したこのあたりから、正気度の低下傾向が始まる。クトゥルフ神話の技能が上がると、正気度の上限に限界が出てきて、なかなか危険度が上がるな。この時点で12本のシナリオをクリアしているから、ずいぶんと技能レベルが上がっているし。

内山靖二郎/アーカム・メンバーズ『クトゥルフ神話TRPGリプレイ:るるいえとらべらーず』

 頻繁にひどい目に遭っている辰巳先生の過去の因縁から、話は展開。ハスターを呼び出そうとする白い仮面のたくらみを阻止すべく、函館に行ったり、富士山に行ったり。るるいえ堂の二階の長持ちで冷凍睡眠していた女性コガネさんが、重要な役割をもっていて、彼女を守るために東奔西走。
 けっこう、ギリギリな展開だったな。寝台特急カシオペアの車内での「天狗さらい」との戦いが珍しく力技だったり、最後のイタクァ退散からコガネのウェンディゴ化を防ぐところなんかも、かなり厳しかった。
 つーか、キーパー鬼畜すぎるw

内山靖二郎/アーカム・メンバーズ『クトゥルフ神話TRPGリプレイ:るるいえぐりもあーる』

 魔道書をテーマとした独立シナリオ三題。
 「屍食教典儀」を研究したことから納骨堂の神モルディギアンの巫女として見初められてしまったさやかちゃんを、解放したり。「ヘスタン文書」に触れた京を生け贄にヨグ・ソトースを呼び出そうとしてた最強の魔術師カール・スタンフォードから東京をスタイリッシュに守ったり。北海道の人里はなれたペンションで、ネクロノミコンに遭遇し、よみがえろうとするアブドゥル・アルハザードから少女を守ったり。
 ラストのペンションの殺人鬼、そして、魔道書と魔道士の復活のシナリオがおもしろかったな。ハンドアウトで、微妙に、みんなの息が合わなくなったり。
 あとは、クトゥルフ神話知識が30パーセントを越えて、正気度の上限に影響しだしたり。しかし、18話もシナリオクリアして、恒常的に正気度70近くを保っているさやかちゃんが、地味にすごい。

内山靖二郎/アーカム・メンバーズ『クトゥルフ神話TRPGリプレイ:るるいえがすらいと』

 ニャルラトテップが、人類にタイムマシンという技術を与え、世界に混乱をもたらそうという試み。それを、19世紀ロンドンにいたるるいえ堂の先祖?と現代のるるいえ堂の面々が阻止する。
 赤毛連盟のトリックを使った二話目の話が好きだな。さやかちゃんの空手キックの凄まじい威力。クトゥルフの寵愛を受けし者を、かなりダメージが入っていたとは言え、キック二発で沈めるという。
 あとは、クライマックスの過去と未来の探索者が一緒になって、混乱するところとか。

内山靖二郎/アーカム・メンバーズ『クトゥルフ神話TRPGリプレイ:るるいえみつかどにっく』

 御津門学園を舞台に、復活を目論む邪悪な魔術師の復活を阻む探索者たち。アーティファクト「from OUTSIDE」を利用し、ヨグソトースによる時空間を曖昧にする力を使い、新たな肉体を乗っ取ろうと試みる。
 阻止には成功するが、ヨグソトースの空間で、ヒロイン格のさやかちゃんが行方不明に。いや、これはなかなかの大惨事だったな。幸運に恵まれたヒロインも、実際に物をいじると弱かったw


 学園内でSNSを使ってアザトースの真の名を唱えさせようとする第一話がおもしろかったな。『みなせゼミの名状しがたき夏休み』とクロスオーバーした第二話。そして、学園祭を利用してアザトースの名を唱えさせようとする第三話。非常に緊迫感のあるおもしろさだった。猫になった睦とか、エピソードも良い。三キャラで、精神の入れ替わりというのも、なかなか意外だったな。

内山靖二郎/アーカム・メンバーズ『クトゥルフ神話TRPGリプレイ:るるいえあーかむしてぃ』

 さやかちゃんを復活させるべく、アーカムインスマスを駆け回る探索者たち。このシリーズでは、時空間が歪んでいるので、1920年代の同地を探検することに。アーカムの地下通路を探検したり、エドワード・ダービィの館に行ったり、インスマスショゴス細胞をゲットしたり。
 つーか、さやかちゃんが、合成生物みたいに。いろいろとネタになりそうな感じだな。
 ゲストキャラのケイトが、かわいかったデス。

サメの話

natgeo.nikkeibp.co.jp

研究室に行ってみた。沖縄美ら島財団総合研究センター 軟骨魚類学 佐藤圭一 ナショナルジオグラフィック日本版サイト

第1回 被害数は史上最多に、いま危険なサメが増えている? ナショナルジオグラフィック日本版サイト

 長期トレンドとして、サメ被害が増えているとはいえないと。目立つようになったのは、動画サイトが普及して、事故の動画が流通するようになったためではないかという。認知状況の変化。
 沖縄には、人間に危害を加える種が、ホホジロザメ、イタチザメ、オオメジロザメの三種類とも通年生息するが、リーフ内でのレジャーが多いのと、サーファーが少ないため、被害が少ないと。
 乱獲で、現在は激減中。比較的深海性のサメの乱獲がひどいと。アイザメ属は肝油のために、特に打撃を受けているそうな。深海性の魚類は、再生産が遅い上に、そもそもどのくらいの個体数かも把握しにくいので、保護が難しい。
 成熟が遅いため、一度減ると回復しにくい。モミジザメにいたっては、成熟に40年という。
 わかっていないことだらけで、研究の核を繁殖様式に絞っていると。サメは繁殖様式のデパートやー

第2回 300匹を妊娠!ジンベエザメの繁殖の謎に迫る ナショナルジオグラフィック日本版サイト

 ジンベエザメの繁殖の話。つーか、そもそも何もわかっていないという。どこで、どうやって交尾するかもナゾ。妊娠しているサメを見たことある研究者もいないと。
 1995年に台湾で定置網にかかったジンベエザメから300匹の胎児が出てきたのが唯一の事例だそうで。成長段階が、微妙に違う子が胎内にいたと。300匹だと、排卵にも時間がかかると。
 そもそも、サメの研究が、大学の研究サイクルにあっていないと。妊娠しているオンデンザメをサンプリングできるのが、10年がかりだったりする状況。
 まだ、ジンベエザメの研究は希望が持てると。美ら海水族館では、繁殖行動を待っていると。
で、その前段階として、似ているトラフザメを精密に観察中。ホルモンの指標などを探していると。卵の殻をつくってお腹の子宮に送り込むところまでは、すべてのサメで共通。見かけほど、違いは大きくないと。卵黄依存か、母体依存かが重要。

第3回 共食いも胎盤も! サメは「繁殖様式のデパート」 | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

 沖縄美ら島財団は生態の研究者から生理まで、網羅している世界でもあまりない組織と。
 子宮内の子に対する栄養供給が多様。卵黄からの栄養だけで、ある程度まで成長する種類。ジンベエザメは子宮内で保護しつつ、栄養は卵黄からの供給。
 輸卵管の一部が変化して、「子宮」とみなされる器官になっている種類が多いと。人類とは別経路の子宮。卵を産むタイプのサメでは、輸卵管と称されるのだそうな。
 母体からの栄養供給に依存するタイプも、無精卵を食べるホホジロザメのようなもの。3つの系統でで独自に派生したというのがおもしろい。
 さらに、最初に発生した胎児が受精卵や胚を食べる共食い型。胎盤を作る見かけ上は、哺乳類的なタイプ。卵黄嚢胎盤と子供のほうからつなげるのか。シュモクザメだと、20匹くらい、子宮に詰まっていると。
 エイには、胎内でミルクを飲ませる種類も。

第4回 子どもにミルクやスープを与えるサメがいた! | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

 沖縄美ら海水族館では、毎年マンタを繁殖させているってすごいな。で、生まれてくるときには幅180センチ、重さ70キロまで成長している。こうなると、生まれた時点で天敵は限られてくるな。胎内で高栄養のミルクを分泌して、それで成長する。
 ミルクの成分を、きちっとサンプリングするのは難しいか。
 「卵黄依存」のものも、完全に卵黄依存のものはほとんどいないんじゃないかってのがすごいな。子宮の壁からでる粘液のようなものを吸収していると。
 最近、ホホジロザメもミルクを与えているらしいことが明らかになったとか。イタチザメでは子宮に雑多な有機物が混ざったスープのような液体が満たされていて、それを飲んで栄養にしている。
 進化の時間と分布の広さが、目のくらむような繁殖様式の多様性を生んでいるか。おそろしいまでの「沼」っぷりがすごいな…

第5回 海に憧れた少年がサメ博士になるまでとこれから | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

 美ら海水族館が、水族館の社会的使命というべき研究体制をきっちりつくっているのが、良いね。博士持ちの研究者が9人か。フィールドワークよりも、水族館の方が、生きた状態の観察研究がしやすい。繁殖生理の研究と飼育下繁殖が車の両輪で、知見を増やすか。
 生息数やどの程度の保護が必要なのか、基本的な情報として貢献する。資源量の今後を考えるのに重要と。いままで、生態がわからない状況で、フリーダムに漁獲されていたのが、変わってくるかも。
 サメの子宮内での酸素の供給をどうしているのかという問題に取り組んでいる研究者の方へのインタビューも。胎盤を持たない種類ではどうやっているか、確かにナゾ。
 マンタのエコー調査で、子宮内の液体に溶け込んでいる酸素をエラ呼吸していると。物理モデルを作って研究したところでは、3割しか供給できていない。羊水を取り替えているのではないかと推測と。
 栄養と酸素、老廃物をどう処理しているかがわかれば、ある程度育った胎児を人工的に育てることもできるようになるか…