桜林美佐『奇跡の船「宗谷」』

奇跡の船「宗谷」

奇跡の船「宗谷」

初代の南極観測船として有名な「宗谷」の一生を描いた作品。非常に読みやすい。
海軍時代に紙幅が割かれ、またそこがおもしろい。無類の幸運艦「宗谷」が余すところなく描かれる。トラック島の攻撃を生き残ったとは。
反面、南極観測船時代の記述が薄い。
また、気になった点としては、長所と裏腹だが、少々感傷的というか、対象に一体化しすぎ、あるいはべた褒めすぎ、という感じがする。それが、読みやすさを生み出しているのは確かだが…
ことの良し悪しではなく、思い出したくもない船という当事者もいるだろうと思うのだが。